今年10周年を迎えた神戸の人気店「イグレックプリュス＋三宮店」

多田征二シェフ。近頃は、素材のおいしさと自身の経験と技術を生かして、シンプルでピュアなお菓子を提案。ただいま、マロンとバニーユを使ったお菓子を試作中。

そんな数々のお菓子を作り出す多田シェフが大切に考えているのが、香り。「フランスのお菓子は、香りも味わいの１つとしてとても大切に考えているんです。特に、うちはホテルメイドのお菓子。食後のデザートとして余韻に浸っていただくようなお菓子をイメージしているところもあります。ただし、デパート出店もしており、小さなお子様に食べていただく機会も多いので、リキュールなどアルコール類を使用しないで、香りづけする工夫をしています。そこで、登場するのがコンフィチュールやピュレです」とシェフ。

旨味を凝縮した手作りのコンフィチュールやピュレを生地の間にサンドしたり、ムースの中に閉じ込めるなど、アクセントに使用することで、口に入れたときに広がる濃縮されたフルーツの香りが広がって、食べる人の五感を刺激。「糖度が低めのコンフィチュールは、砂糖の甘味だけではなく、フルーツそのものの味や香りが強いんですよ。」

神戸の夜景を眺めながら食べたい「ソワレ」。軽い食感のチョコのシブーストにオレンジの香りをふわりとまとったまろやかクリームが好相性。

さらには、洋菓子の街・神戸での活動にも意欲的。洋菓子がいち早く海を渡ってやってきた神戸市が企画した神戸の観光資源である夜景と絶大な人気を誇る神戸スイーツのコラボレーション「神戸夜景スイーツ」では、カカオ分125％という珍しいチョコレートを使用したシブーストショコラとオレンジクリームを組み合わせた「ソワレ」を考案。色とりどりに輝くショコラをデコレートして、ロマンチックなお菓子は、11月末までの期間限定で販売しています。神戸の夜景を眺めながら、「ソワレ」を愛で味わう、そんなひとときを過ごしてみてはいかがですか？

2011年秋から登場する「ミルティーユ」。マロンとブルーベリーの組み合わせが新鮮。ブルーベリーのムースリーヌとマロンクリーム、ダッコワーズなどが層になった繊細な構造。ブルーベリーのピュレをクリームにもブレンドしていて、香りのアクセントになっている。

オープンから10年経った今、「この先10年後もまた、味わっていただけるお菓子を。奇をてらわず、シンプルに分かりやすく、おいしいと思えるお菓子をこれからも考えていきたい」と語るシェフ。素材を生かしたシンプル＆ピュアなお菓子は、きっとまた10年後にも新鮮なのでは……と思わせられます。10年後も楽しみに、今年も来年も食べたいですね。

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プロフィール

いなだみほ 神戸岡本在住のフリーランスエディター＆ライター。 お菓子、パンを中心に雑誌やウェブで執筆中。 好きなお菓子は、クラシックなお菓子、素朴なお菓子、物語のあるお菓子。 現在、自身のブログ「miho a la mode 」では 東北地方のおいしくかわいいお菓子を取り寄せて「北国のおかし」を連載中。

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