11.09.19(Mon)

和菓子の美をパリで魅せる Waraku/和楽

tend Editorial Team

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受付からの視界。客室を見渡すことのできる繊細な仕切りで、風通しの良い軽快なアクセントを。

受付からの視界。客室を見渡すことのできる繊細な仕切りで、風通しの良い軽快なアクセントを。

パリ7区、ボン・マルシェ百貨店から西の方向にセーヴル通りを歩いて7分ほど、静かな小道ルスレ通りに和菓子店「和楽」がオープンしました。大きなガラス窓で店内が見えるその店は、石膏で作った土壁のような落ち着いた壁に木の家具と仕切りで、日本の自然観が伝わってくるような和の造りです。こぢんまりとした空間はとても風通しよく、空気が流れていて透明感があります。フランス版ミシュランガイドで、現在たった一つ和食店として星を獲得する(1ツ星)「あい田」ですが、そのオーナーかつ職人である相田康次さんが、先見の明を持ってオープンした和菓子店といえるでしょう。2005年に「あい田」をオープンして6年目の新たな挑戦となりました。

(左)わらび餅。(右)村田崇徳さん。名古屋の和菓子職人の息子さんで、日本の食文化をフランスの人々に知ってもらおうという静かな願いを込めて和菓子を作ります。

(左)わらび餅。(右)村田崇徳さん。名古屋の和菓子職人の息子さんで、日本の食文化をフランスの人々に知ってもらおうという静かな願いを込めて和菓子を作ります。

和菓子職人を務めるのは、1978年生まれの村田崇徳さん。村田さんはもともと和菓子職人の息子さんで、京都で修業をしましたが、当時パリに住んでいたフランス菓子職人である兄の影響も受けて、世界を見てみたいとワーキングホリデーを取得し、2005年にパリにやってきました。その当初、働き先を探していたところ、たまたま門を叩いたのが「あい田」。しかもその日は、当店のオープン日だったそうです。それからデザート部門を担当することに。2年半後日本に戻り、実家を手伝っていましたが、「和楽」のオープンのため、パリに呼び戻されたのだという、深い縁を感じます。

(左)重陽の節句のために作り上げたお菓子“きせわた”。(右)日本から運んできた村田さんの七つ道具で繊細な和菓子をお客さまの前で作り上げるのが、“和楽”の美学です。

(左)重陽の節句のために作り上げたお菓子“きせわた”。(右)日本から運んできた村田さんの七つ道具で繊細な和菓子をお客さまの前で作り上げるのが、“和楽”の美学です。

「お客さまに、背景を想像していただけるような和菓子作りを目指しています」と村田さん。日本ならではの季節を表す自然の姿を、お菓子の中に託します。店に伺ったときはちょうど9月9日。重陽(菊に長寿を祈る日)で、菊の節句を愛でる“菊の着綿”を表現した和菓子“きせわた”を出していました。この店の特徴は、カウンター席があって、お客さまの前でお菓子を制作するということでしょう。日本から村田さん自身が持参した和菓子の道具が取り出され、一つ一つ和菓子を制作するその仕草を間近で見ながら、さまざまな質問を投げかけることができるのは、こうしたカウンターのスタイルならではでしょう。