「能ある鷹」は爪を隠す?データ入力バイトでの痛快な逆転劇
これは私が以前、短期のデータ入力のアルバイトをしていた時の話。
仕事内容は至ってシンプル。
渡されたデータをひたすらパソコンに打ち込んでいく、単純作業の繰り返しです。
当時の私は、「短期間でガッツリ稼ごう!」とやる気満々。
「効率重視、スピード命!」
そう自分に言い聞かせ、初日からトップギアで作業を開始しました。
フロアに響く自分のタイピング音。
「よし、この調子ならかなりの量を処理できるはず」
そう思ってふと一息つき、周囲を見渡した時のこと。
そこに広がっていたのは、予想外の光景でした。
周りのスタッフたちの手元を見ると、決して不慣れなわけではありません。
むしろ指の動きは滑らかで、ベテランの風格さえ漂っています。
それなのに、なぜか皆、あくびが出そうなほどのんびりとキーを叩いているのです。
「(なんで? 皆もっと速く打てるはずなのに……)」
私が不思議そうにキョロキョロしていたからでしょうか。
隣の席の女性が、私の視線に気づいて小さく手招きをしました。
「あのね、そんなに必死に多くこなしても、ゆっくりやっても……支給額は同じだよ?」
なるほど、そういうことか。
時給制の仕事において、個人の処理数は給料に反映されません。
皆、そう割り切って「省エネモード」で働いていたのです。
私は完全に「空気を読んでいない張り切り屋」だったというわけ。
事情を悟った私は、即座に方針転換。
フロア全体を包む、なんとも平和で気だるげな空気。
ところが、そんな安息の時間は長く続きませんでした。
上司の煽り
私たちの様子を監視していた上司が、フロアに現れたのです。
全体を見渡すと、少し焦れた様子でパンパンと手を叩きました。
「あー、皆さんお疲れ様。ちょっと進みが遅過ぎないか?時給払ってるんだから、もう少し効率を意識してできんかね?」
その言葉が、合図でした。
私を含め、その場にいた全員の背中に、見えないスイッチが入った瞬間です。
まるで皆の心が一つになったかのような一体感。
それまで「ポチ……ポチ……」だった静かな部屋が、一瞬にして戦場のような爆音に包まれました。
指が見えないほどの猛烈なブラインドタッチ。
さっきまでの数倍、いや十倍以上の速さでデータを叩き込んでいきます。
私たち全員、「本気を出せば誰よりも速い」というプライドを持つ猛者たちだったのです。
その劇的な変化に一番驚いたのは、他でもない上司でした。
口をあんぐりと開け、あまりの音とスピードに圧倒されて立ち尽くしています。
「えっ……す、すごい……。や、やればできるじゃん……」
震える声でそう呟く上司。
その驚愕の表情を横目で見ながら、私たちは皆、超高速でキーボードを叩きつつ心の中でこうツッコミを入れていました。
「(当たり前だろー!!)」
上司の度肝を抜いたあの瞬間の爽快感。
今でも思い出すとスカッとする、懐かしい仕事の思い出です。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














