「見ればわかるだろ」年齢確認で店員を怒鳴った常連客。だが、オーナーの姿を見て急に笑顔になった瞬間
オーナーの前では笑顔になる常連客
コンビニでパートをしていたころ、夕方になると毎日のように来る50代くらいの男性客がいました。
オーナーとすれ違うと、いつも笑顔で深くおじぎをします。
「どうも、オーナーさん。今日も繁盛してますね」
ところが、レジに来ると雰囲気が変わりました。少し待つだけでレジ台を指でたたき、店員をにらむことがあります。
私も、60代くらいのベテランのパートの女性も、そのたびに黙って対応していました。
あの夕方も、女性がレジを打ち、私は隣で商品の袋詰めを手伝っていました。
男性の後ろには、3人ほどのお客さんが並んでいます。
男性は缶ビールとおつまみをレジ台に置きました。
女性が画面の年齢確認ボタンを押してほしいと伝えると、男性は顔をしかめます。
「見ればわかるだろ。毎回これ、押さなきゃいけないの?」
「すみません。決まりですので、お願いします」
男性は不満そうに画面へ手を伸ばしましたが、うまく反応しませんでした。
女性が「もう一度だけお願いします」と声をかけると、男性はレジ台を強くたたきました。
「もう、遅いんだよ。何やってるんだ」
女性は「申し訳ありません」と頭を下げます。すると男性は、隣にいた私にも目を向けました。
「そっちも早くしてくれよ。後ろ、並んでるだろ」
私は返す言葉が見つからず、黙って袋詰めを続けました。後ろのお客さんたちも、気まずそうに男性を見ています。
事務所から出てきたオーナー
そのとき、奥の事務所のドアが開きました。
60代くらいの男性のオーナーが出てきて、私たちのそばまで来ます。
すると男性客は、それまでとはまるで違う声で笑いました。
「あ、オーナーさん。今日もレジの皆さんにお世話になってます」
オーナーは男性を見てから、私たちのほうへ一度目を向けました。
「いや、助けてもらっているのは私のほうですよ。この二人には、いつも頑張ってもらっていますから」
男性客の笑顔が止まりました。
オーナーは続けます。
「事務所まで声が聞こえていました。申し訳ありませんが、スタッフにああいう言い方をされるのは困ります」
男性は何か言おうとしましたが、オーナーは落ち着いた声のままでした。
「今後も同じようなことが続くようなら、こちらとしても来店はお断りします」
男性はしばらく黙っていましたが、結局、缶ビールとおつまみをレジ台に残したまま店を出ていきました。
オーナーは残された商品を脇へよけると、後ろで待っていたお客さんに頭を下げます。
「お待たせしてすみません。どうぞ」
その日を最後に、あの男性が店へ来ることはありませんでした。
オーナーにだけ見せていた愛想のいい笑顔も、それきり見ることはありませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














