「袖になんか入れてないよ」休憩所の無料ドリンクを袖に隠し入れた男性。だが、スタッフに注意されたあとの行動でバレた
空になった段と、肩を落とした女の子
連休に、ひとりで山あいの温泉旅館へ行ったときのことです。
夜9時ごろ、大浴場を出て、すぐ横にある湯上がりの休憩所のソファに座りました。
そこには無料の乳酸菌飲料やアイスが用意されていて、壁には「お部屋へのお持ち帰りはご遠慮ください」と書かれています。
しばらくすると、浴衣姿の20代くらいの男性がやってきました。
男性は乳酸菌飲料の小さなボトルを取ると、そのまま浴衣の右袖へ。
さらに左袖、また右袖へと、次々に入れていきます。
飲料の段はあっという間に空になりました。
ちょうど父親と一緒に来た髪のぬれた小さな女の子が、空の段を見てがっかりしたように肩を落とします。
見かねた私は、ソファから声をかけました。
「それ、ここで飲むものみたいですよ」
男性はこちらを見て、少し面倒そうな顔をしました。
「タダなんだから、別にいいでしょ」
「でも、持ち帰りはご遠慮くださいって書いてありますよ」
「誰も見てないんだから、いいって」
そう言うと、男性はさらにアイスを2本取り、両手に1本ずつ持ちました。
休憩所にいた数人の客も、その様子を見ています。
視線に気づいた男性は、少し声を荒らげました。
「何だよ。欲しいなら早く取ればよかっただろ」
その場がしんと静まり、私はそれ以上何も言えませんでした。
にこやかな「ごゆっくり」のあとで
そこへ、女性スタッフがやってきました。
スタッフは空になった飲料の段に気づき、続いて男性のふくらんだ袖と、両手のアイスに目を向けます。
そして男性に近づき、穏やかな声で言いました。
「お客様。こちらは休憩所でお召し上がりいただくものですので、お部屋へのお持ち帰りはご遠慮いただいております」
すると男性は、両手のアイスを見せるように腕を広げました。
「袖になんか入れてないよ。手に持ってる2本だけ」
スタッフは少し間を置いてから、にこやかにうなずきました。
「そうでしたか。失礼いたしました。では、ごゆっくりどうぞ」
男性はばつが悪そうに、スタッフへ軽く頭を下げました。
その瞬間です。
片方の袖から、小さなボトルがころんと床へ落ちました。
続いて反対側からも落ち、1本、2本、3本と転がっていきます。
全部で6本でした。
男性は固まったまま、床を見つめています。
スタッフは何も責めることなくボトルを拾い、外側を拭いてから冷蔵ケースへ戻していきました。
「こちらは、ここでお召し上がりくださいね」
男性は顔を赤くし、何も言い返しませんでした。手に持っていたアイスも冷蔵ケースへ戻すと、誰とも目を合わせず、足早に休憩所を出ていきます。
先ほどの女の子は冷蔵ケースからボトルを1本取り、父親を見上げてうれしそうに笑っていました。
その姿を見ながら、最初からみんなが気持ちよく利用できていればよかったのに、と少し複雑な気持ちになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














