「何してても同じでしょ」参観日なのにゲームをやめない保護者。授業の最後、先生から感想を求められた結果
参観日の教室に響いたゲームの音
子どもの授業参観に行った日のことです。
その日は、子どもたちが一人ずつ前に出て発表する授業でした。わが子も朝から少し緊張した様子で、私も教室の後ろに立ち、発表を見守っていました。
ところが、授業が始まってしばらくすると、すぐ隣から小さな電子音が聞こえてきました。
「ピコ、ピコ……」
何の音だろうと思って横を見ると、隣に立っていた女性の保護者が、携帯電話を横向きに持ってゲームをしていたのです。
教室の前では、子どもたちが緊張しながらも一生懸命に発表しています。発表が終わるたびに拍手が起こりますが、その女性はほとんど顔を上げません。
音はそれほど大きくないものの、静かな教室では意外と耳につきます。
少し離れた保護者も、気になるのか、眉をひそめてこちらを見ていました。
私が思わず隣を見ると、女性もこちらに気づきました。
「…何?」
少し不機嫌そうな声でした。
「あの、ゲームの音がちょっと聞こえていて…」
遠慮がちに伝えると、女性は面倒そうな顔をしました。
「別に、見てるだけなんだから。何してても同じでしょ」
そう言って鼻で笑うと、また画面に目を戻してしまいました。
正直、驚きました。子どもたちが頑張っているのに、そんなふうに考える人もいるのかと。
ただ、ここで言い合いになって授業の邪魔をするのも嫌でした。私はそれ以上何も言わず、前を向きました。
「感想をひと言ずつ」先生のお願いに固まった保護者
やがて、子どもたち全員の発表が終わりました。
先生は子どもたちに向かって、にこやかに声をかけました。
「みんな、よく頑張りましたね。緊張したと思うけど、最後までしっかり発表できました」
それから教室の後ろにいる私たちのほうへ手を向けました。
「最後に、おうちの方に、感想をひと言ずつお願いします」
保護者たちは順番に、子どもたちの発表について話し始めました。
「みんな、堂々と話していてすごかったです」
「質問にもちゃんと答えていて、びっくりしました」
先生が「ありがとうございます」と頭を下げるたびに、子どもたちもうれしそうな表情を浮かべていました。
そして、ゲームをしていた女性の番が回ってきたのです。
「あ、ええと…」
女性は慌てて携帯電話を下ろしました。
「みんな、その…」
そこまで言うと、言葉が止まってしまいました。
少し間が空きましたが、続きは出てきません。
周囲の保護者の視線が集まるなか、女性は携帯電話を握ったまま、うつむいてしまいました。
ずっと画面ばかり見ていたので、急に感想を求められても困ってしまったのでしょうか。
先生は責めることなく、穏やかに声をかけました。
「ありがとうございます。では、次の方、お願いします」
そのまま授業は進み、最後まで感想を聞いて終了しました。
帰るころには、女性の携帯電話はかばんの中にしまわれていました。
先ほどの「何してても同じでしょ」という言葉が、私の耳には残っていました。
発表の内容を覚えていれば、何かひと言くらいは話せたかもしれません。
私はわが子が緊張しながらも頑張っていた姿を思い出しながら、教室をあとにしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














