新感覚スイーツとこだわりの空間「ココロヴァ」がニューオープン

手前“Super Position”。薄く重ねることで、さまざまな口当たりと味わいが繊細に弾けるのもモダン。

そんなデザインを愛するギョームさんだからこそ、スイーツもスタイリッシュ。たとえば“Super Position”。重ね合わせるという意味の“シューペルポジション”に、“スーパーなポジション”という言葉遊びをかけたケーキで、サブレとチョコレートクリーム、チョコレートビスキュイ、コーヒークリーム、クレームパティシエールを重ねています。さまざまな口当たりと味わいが絶妙に薄手に重ねられていて、繊細さも備えた、とても新しい感覚の一品で、デザートに近いパティスリーと言ってもいいかもしれません。

ピスタチオクリームの中から、イチゴとピーチのジュレが現れる、フレッシュさ抜群のタルト。

ピスタチオのクリームをリング型にして、イチゴをのぞかせたタルトは、見た目も愛らしいのと同時に、中に閉じ込めたイチゴとピーチを合わせたジュレがとてもフレッシュで斬新な構成。さすがレストランでの経験のあるパティシエならではのアイディアでしょう。

気泡をたっぷり含んだチョコレートムースの中に、グロゼイユのジュレをしのばせ、チョコレートデザートを軽やかな味わいに。

トンカ豆風味のチョコレートムースと、グロゼイユ（レッド・カラント）のジュレを合わせたアントルメも秀逸。グロゼイユの爽やかさが、気泡をたっぷり含むように仕上げた軽やかなチョコレートのムースにぴったり。食べた後もウッディなニュアンスもあるトンカ豆の香りの余韻が残るので、大人のためのチョコレートスイーツという気がしました。チョコレートの円盤を刺したその姿も、ユーモラスな楽しさを表現してくれています。

見た目も楽しい“ババ”。ブリオッシュの上にはパイナップのチャツネをあしらい、レモンクリームを合わせた。

また“ババ”は、サブレの上にレモンクリームを塗り、ココナッツを外側に散りばめたブリオッシュを被せて、パイナップルのチャツネをのせた個性的なアレンジで、楽しさが溢れます。エキゾチックな風味とプレゼンテーションで、まったく違ったババが出現しているのも、他の店にはないアイディアでしょう。

オープンしてまだ2ヶ月。これからさらに進化していく力と遊び心のある店だと感じました。

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プロフィール

伊藤文（いとうあや）：料理ジャーナリスト 1993年渡仏。コルドンブルー料理学校パリ校卒業後、フランスの食文化を掘り下げる取材を重ねる。 著書に『フランスお菓子おみやげ旅行』、訳書に『招客必携』、『ロブション自伝』など多数。

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