「もしかして私、ADHDかも…?」
「子どもが診断されたけど、これって私にも原因あるの?」
そんな風に、自分や家族の中で“発達特性”に気づいたとき、よく話題になるのが――
「ADHDって遺伝するの?」問題。
ネットやSNSでも、「うちは親子で診断された」「遺伝じゃないと思う」など、さまざまな声が飛び交っています。
今回はその中でもよく見かける「遺伝説」と「そうじゃない説」について、それぞれの視点からまとめてみました。
ADHD遺伝説:「親から子へ、特性は受け継がれる」説
まずはネットでよく目にするのが、「ADHDは遺伝する傾向が強い」という説です。
◉ 遺伝説を支持する人たちの主張:
・「私がADHDなんだけど、子どもも同じ診断が出た。たぶん私からだと思う」
・「親がすごく忘れっぽくて、私もそう。子どもも同じタイプ」
・「家系に“落ち着きのない人”が多い」
実際、医学的な研究でも、ADHDは遺伝的要因が強いとされており、親子・兄弟間での共通性が高いと言われています。
特に双子研究などでは、一卵性双生児の一方がADHDだった場合、もう一方もADHDである確率がかなり高いという結果が出ているそうです。
さらに、ADHDは「脳内の神経伝達物質(ドーパミンなど)」に関係しており、こういった働きに関わる遺伝子が影響しているのでは?とする説もよく挙げられています。
ADHD非遺伝説:「環境や教育、ストレスが影響している」説
一方で、**「ADHDは必ずしも遺伝ではない」「育った環境が影響している」**という意見も、根強く存在しています。
◉ 非遺伝説を支持する人たちの主張:
・「両親も兄弟もADHDじゃないけど、自分だけ診断された」
・「親の育て方や幼少期のストレスが原因なのでは?」
・「早期教育や刺激の多さが影響してる気がする」
この説では、幼少期の家庭環境、親子関係、学校での対応、社会的なストレスなどがADHD様の傾向に影響を与える可能性があると考えられています。
例えば、
・幼少期に強いプレッシャーをかけられて育った
・周囲に比べて自由な育て方をされた
・ゲームやデジタルデバイスの使用頻度が高かった
などが、集中力の欠如や多動傾向を引き起こす「後天的な要因」になるという考え方もあります。
で、実際のところどっちなの?
ここが気になるところですが――
医学的には「遺伝+環境要因のミックス」が有力とされています。
つまり、
「ADHDは遺伝する“傾向”はあるが、環境や教育も無視できない」
というのが、今のところの一般的な見解。
ADHDは“脳の働き方の違い”であり、誰のせいでもなく、ましてや「親の責任」などではありません。
遺伝も環境も関係する“多因子性”の特性として、一人ひとりに合った理解と対応が大事とされています。
最後に
ネット上では、「私が原因だったのかな…」と悩む親御さんや、「親のせいにされたくない!」という子どもの声もよく見かけます。
でも、大切なのは「原因探し」よりも「今、どうサポートするか」。
ADHDは“その人らしさ”の一部であり、悪いことでも欠陥でもありません。
誰かと比べるのではなく、その子の特性や強みを理解していくことが、最良のサポートにつながるのではないでしょうか。