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2025.06.24(Tue)

更年期で苦しむ妻に「迎えに来て」と無神経LINEの夫。怒りの最終通告で凍り付かせた[短編小説]

 

突然、滝のように噴き出す汗。心臓を鷲掴みにされるような動悸。そして、理由もなく襲ってくるめまいと、鉛のように重い倦怠感。

 

40代後半になった私を苦しめる「更年期」という名の、見えない敵。しかし、夫の昭夫にとって、それはただの「気の持ちよう」か「怠け」でしかないようでした。

 

「俺だって疲れてるんだ」

「そんなに辛いなら、寝てればいいじゃないか」

 

私が体調の悪さを訴えるたびに、彼はそう言って、まるで他人事のようにテレビのリモコンを手に取る。思いやりや労りの言葉など、もう何年も前からありませんでした。彼の無理解は、私の体を蝕む症状よりも、ずっと深く私の心を傷つけていました。

 

最後の引き金を引いた、深夜の無神経LINE

その日は、特に症状がひどい一日でした。朝から続く頭痛とめまいで、最低限の家事をこなすのがやっと。夕食も喉を通らず、私は早めに横になっていました。

 

夜11時過ぎ。枕元のスマホが、無機質な音を立てて震えました。飲み会に行っている夫からのLINEでした。

 

『飲み会終わった。終電なくなったから、悪いけど駅まで車で迎えに来て』

 

たったそれだけの、あまりに一方的なメッセージ。私が今日一日、どれだけ苦しんでいたかなんて、彼の頭の片隅にもないのでしょう。気遣う言葉一つない、まるでタクシーを呼ぶかのようなその文面に、私の中で何かが、プツリと音を立てて切れました。

 

これが、あなたへの「最終通告」

長年、心の中に溜め込んできた、諦め、悲しみ、そして何より、彼への怒り。それが、熱いマグマのように噴き出しました。もう、黙って苦しむのは終わりだ。これは、単なる夫婦喧嘩じゃない。私の人生をかけた、彼への”最終通告”だ。

 

私は、返信の代わりに、スマホのメモ帳を開きました。震える指で、一言一句、私の決意を打ち込んでいきます。感情的な罵詈雑言ではありません。彼に選択を迫る、冷徹で、具体的な提案書です。

 

そして、完成したそれを、LINEで彼に送りつけました。

 

私が突きつけた「三つの選択肢」

お迎えには行きません。タクシーで自力で帰ってきてください。



そして、本題です。
あなたは、私が「更年期」という病的な症状で苦しんでいることを、全く理解しようとしていません。それは、夫として、そして人としての思いやりが決定的に欠如している証拠です。



今後の私たちの関係について、あなたに三つの選択肢を提示します。

A:明日、私と一緒に更年期外来の病院へ行き、医師の説明を聞くこと。そして、家事を完全に分担すること。
B:家庭内別居。生活費は今まで通りあなたが全額負担し、私たちは同居人として互いに干渉しないこと。
C:離婚。弁護士を立てて、財産分与について正式に話し合うこと。



今夜、タクシーの中で、あなたがどの選択肢を選ぶのか、よく考えてください。それが、あなたの私に対する答えです。そして、それが私たちの未来になります。

 

夫が凍りついた夜

送信ボタンを押すと、不思議と心は凪いでいました。

 

きっと今頃、彼は駅前で、まだ来ない私にイライラしていることでしょう。そして、このLINEを読んで、その顔から血の気が引いているに違いありません。

 

私が突きつけたのは、いつものような感情的な訴えではありません。弁護士、離婚、財産分与。彼の知らない世界から飛んできた、具体的で、現実的な言葉の刃。彼が得意だった「気の持ちようだろ」という呪文は、もう通用しないのです。

 

深夜12時過ぎ、タクシーで帰ってきた夫は、玄関で凍りついたように立ち尽くしていました。その顔に、いつもの傲慢な態度は微塵もありません。

 

リビングで静かに待っていた私の前で、彼は深々と頭を下げました。
「本当に、すまなかった…。俺が、全部間違っていた」

 

そして、震える声でこう言ったのです。「選択肢Aで、お願いします」と。

 

あの日を境に、私たちの関係は、ゆっくりとですが変わり始めました。夫は本当に病院についてきて、医師の話に真剣に耳を傾け、拙いながらも家事を手伝うようになりました。

 

たった一通のLINEが、全てを変えました。それは、私が自分の尊厳を取り戻すための、宣戦布告であり、最後のラブレターでもあったのかもしれません。

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