
小池ルパン映画完結!?
2025年6月28日、アニメ映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』が全国公開を迎え、X(旧Twitter)を中心に「小池ルパン完結」が大きなトレンドとなっています。
これは、2013年から続く“小池健監督によるルパン三世シリーズ”の最終章。原作のハードボイルドな世界観を追求したこの路線は、TVシリーズとはまったく異なる緊張感とアート性で、コアファンを魅了してきました。
ここでは、最終作『不死身の血族』と、それに至る4つの過去作を振り返ります。
小池ルパンとは?──"泥臭くて美しい"原点回帰のルパン
小池健監督による「LUPIN THE IIIRD」シリーズは、原作・モンキー・パンチ氏の持つダークで暴力的、そしてセクシーなルパン像を軸に展開されてきました。
各キャラクターに焦点を当てながら、ルパン一味の“始まり”や“狂気”を描いていく構成。
劇場アニメならではの暴力描写・陰影・音楽演出が際立ち、今なお「大人向けルパン」として絶賛されています。
『次元大介の墓標』(2013年)──ルパンと次元、始まりの銃声
本シリーズの幕開け。
ルパンと次元が、殺し屋「ヤエル奥崎」に狙われながら、ある女の護衛を請け負う物語。
次元が“命を懸ける相手”をどう選ぶのか
ルパンとの絶妙な信頼関係
墓標が象徴する“死”の重みとプロフェッショナルな美学
映像の硬質感と緊張感に、従来のファンも衝撃を受けた一作です。
『血煙の石川五ェ門』(2015年)──「狂気」と「覚醒」の刃
若き五ェ門が、逃走中のヤクザの護衛という仕事で殺戮者“ホーク”と出会う。
斬っても死なない相手との死闘を経て、五ェ門が“剣士として完成”する物語。
心が折れていく過程と、覚醒の瞬間
演出面での「雨」「火」「血」表現の秀逸さ
シリーズ随一の暴力描写と、肉体の痛みが際立つ、傑作と言われています。
『峰不二子の嘘』(2019年)──誰も彼女を信用できない
舞台はジャングル。少女の命を預かることになった不二子と、襲い来るスナイパー。
「真実よりも嘘を信じる女」という、不二子の根底に迫る物語。
幻覚と記憶が混ざる演出
“裏切る覚悟”を抱えた生き方
ルパン・次元・五ェ門との距離感
“不二子”というキャラの芯にある、哀しみと虚無が美しく描かれます。
『銭形と2人のルパン』(2025年)──“正義と泥棒”の奇妙な三角関係
銭形警部が、2人のルパン(三世と模倣者)と対峙。
原作のような“ルパン vs 銭形”の攻防が、現代的アレンジで描かれました。
銭形の“正義感の狂気”
見えない悪意と、それに立ち向かう不器用な誠実さ
ルパンと銭形の関係性に一石を投じる構造
シリーズ中でも、“視点の逆転”がユニークな作品。
【完結編】『不死身の血族』(2025年)──最も絶望的な敵と、ルパンの矜持
そして今回の『不死身の血族』。
バミューダ海域に不時着したルパン一味が、不老不死を掲げる独裁者・ムオムと対峙。
「銃も刀も効かない敵」
「選別と支配」という狂気
そしてルパンは、“なぜ盗むのか”という原点に迫られる
“盗むこと”が暴力に対する反抗であり、ルパンの誇りと意志の最終章となっています。
世界へ羽ばたく“ルパンの原点回帰”
このシリーズはついに世界10か国以上での公開が決定。
小池監督は「私のルパンはこれで終わりかも」と語りつつも、ファンからは「続いてほしい」との声も。
主演の栗田貫一さんも「この5本で役者陣が本当に完成した」と語り、**俳優陣の魂も宿った“濃厚な5作”**として評価されています。
まとめ:「あなただけのルパンが、ここにいる」
TVアニメの軽妙さとは真逆。
“死”“裏切り”“誇り”をテーマに、誰かが傷つき、何かが崩れ、それでも立ち上がる──
それが小池ルパンです。
映画『不死身の血族』は、シリーズの結末であると同時に、
「今、ルパンを語るなら、この5作を見てからにしてほしい」そんな作品です。