学生時代からの友人
「金の切れ目が縁の切れ目」
とはよく言ったものです。
これは、私が学生時代から仲の良かった友人にお金を貸してしまい、その後の対応に呆れ果てて絶縁した時の話です。
ある日のこと、友人から焦った様子で電話がかかってきました。
「財布を落としちゃって、家賃が払えないの! お願い、5万円だけ貸して! 給料が入ったら絶対すぐに返すから!」
普段はしっかりしている彼女の頼みだったので、私は信用して指定の口座に5万円を振り込みました。
しかし、約束の給料日を過ぎても入金はありません。
「忙しくて銀行に行けない」「来週には必ず」「金なら後で返すから」
と彼女の言い訳は続き、やがて私のLINEは未読スルーされるようになりました。
共通の友人に聞くと、彼女はSNSで旅行や買い物の写真をアップしているとのこと。
私は悟りました。
「ああ、これはもう返ってこないな」と。
5万円は高い勉強代だと思うことにし、彼女のことは記憶から消すことにしました。
結婚式をする友人
それから1年後、突然その彼女から封書が届きました。
中身はなんと、彼女の結婚式の招待状。
しかも、直後にLINEが入り、
「久しぶり! 結婚することになったの。絶対来てね! 二人の門出を祝ってほしいな(ハート)」
と、何事もなかったかのようなメッセージが送られてきたのです。
借りたお金を返さずに逃げ回り、今度はご祝儀(3万円)を期待して招待してくるその神経の図太さに、私の堪忍袋の緒が切れました。
そこで、私は彼女に「ささやかな復讐」をすることにしたのです。
まず、招待状の返信ハガキには、思いっきり達筆で「欠席」と書き、すぐにポストへ投函しました。
そして、結婚式当日。
私は式場に「祝電」と「ご祝儀袋」を送りました。
彼女は「欠席なのにご祝儀をくれるなんて!」と喜んで封を開けたことでしょう。
しかし、そのご祝儀袋に入っていたのは現金ではありません。
私が手書きした、一枚のメッセージカードです。
『ご結婚おめでとう。
本来包むはずだったご祝儀の3万円ですが、以前お貸しした5万円から差し引かせていただきます。
残りの2万円についても、私からの「結婚祝い」として差し上げますので、返済は不要です。
どうぞ、借金のないスッキリとした気持ちで、お幸せに。』
後日、共通の友人から聞いた話によると、彼女は控室でその手紙を読み、顔を真っ赤にして震えていたそうです。
しかし、周囲には「感動的な手紙をもらった」とごまかすしかなく、誰にも文句を言えなかったとのこと。
それ以来、彼女から連絡が来ることは二度とありませんでした。
5万円は戻ってきませんでしたが、3万円の出費を防ぎ、さらに面倒な縁も切れたのですから、結果的には安い手切れ金だったのかもしれません。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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