話をまともに聞いてない友人
あの夜、グラスの触れ合う乾いた音が、私の中で何かが壊れる合図だったのかもしれません。
地元の駅前にある、薄暗い照明が落ち着くワインバー。
向かいに座るのは、学生時代から10年以上も付き合いのある友人。
気心知れた仲、のはずでした。
「うん、うん。それで?」
私の話に対する返事は、手元のスマホに向けられたまま。
彼女の指先は忙しなく動き、誰かへのメッセージを打ち続けている様子。
久しぶりの再会だというのに、彼女の心はここにあらず。
小さなモヤモヤが胸の奥で燻るものの、「まあ、忙しい時期なのかも」と自分に言い聞かせ、私は努めて明るく、一番伝えたかったニュースを切り出しました。
「実はね、この間の人事評価で昇進が決まったの。ずっと目指してたポジションだから、本当に嬉しくて」
その瞬間、ピタリと止まる指先。
ようやく私に向けられた視線。
「おめでとう!」という祝福を期待してしまった私が、馬鹿だったのでしょうか。
彼女は手元のワインを一口含むと、鼻で笑うようにこう言い放ったのです。
「へえ……。でもさ、それって責任ばっかり重くなるやつでしょ?残業も増えそうだし。私だったら、絶対断るなあ」
心配を装った、冷ややかな値踏み。
その言葉の端々に隠しきれない「嫉妬」のような棘が見え隠れして、私の熱は一瞬で冷え切りました。
ああ、この子は私の幸せを喜んでくれないんだ。
そう気づいた瞬間、10年分の情が嘘のようにスゥッと引いていく感覚。
頭の中にあった「気にしすぎかな」という迷いは消え、代わりに残ったのは、驚くほど冷静な判断でした。
「そっか、そういう考え方もあるよね」
友人関係の断捨離
私はあえて笑顔でそう返しつつ、心の中では静かに、けれど確固たる決別を宣言していました。
「この関係、今日で終わりにしよう」と。
それからの行動はシンプルそのもの。
その日のうちに連絡先を整理し、こちらからの接触を一切絶ちました。
不思議なことに、彼女から「最近どう?」なんて連絡が来ることもなく、私たちの関係は驚くほどあっけなく消滅。
そして現在。 昇進した今の仕事は、確かに責任も重いし忙しい。
でも、新しいプロジェクトを任される毎日は刺激的で、かつてないほどの充実感に満ちています。
あの夜、彼女の無責任な言葉に流されなくて本当によかった。
足を引っ張るだけの関係を手放したことで、私の人生は以前よりもずっと身軽で、風通しが良くなりました。
「私だったら断る」と言った彼女。
今の私がどれだけ楽しそうに働いているか見たら、どんな顔をするでしょうか。
まあ、もう二度と会うこともない「過去の人」ですけれど。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














