「悪かったなと思って」財布を忘れて帰ったお客さん。3日後、お客さんが手にしていた小さな箱に心温まった
財布を忘れたお客さんが、レジの前で立ち止まった夜
コンビニで働いていたころ、夜のシフトに入っていたときのことです。日付が変わる少し前、年配の女性のお客さんがパンと飲み物を持ってレジに来られました。
金額を伝えると、その方は鞄の中を探し始めました。内ポケットまで何度も確かめたあと、困ったように顔を上げます。
「お財布を忘れてしまって…」
その店では、会計前の商品をそのまま持ち帰ってもらうことはできません。
私は「大丈夫ですよ」と伝え、商品をいったんこちらで預かることにしました。
「もし取りに戻られるなら、少しの間置いておきますよ」
そう声をかけると、その方は少し安心したようでした。ただ、もう遅い時間です。
「今日はもう戻れないから、ごめんなさいね」
何度も頭を下げられたので、私は「気にしないでください」と返しました。結局、その商品はあとで売り場へ戻しました。
それだけのことでしたが、帰っていく背中が妙に小さく見えたのを覚えています。
三日後、自動ドアから入ってきた人
それから三日後の夜、自動ドアが開いて顔を上げると、あの女性が立っていました。
女性は私を見ると、そのままレジまで来ました。
「この前は迷惑かけてごめんね。お菓子も持ってきたからね」
手には小さなお菓子の箱がありました。そして、あの日と同じパンと飲み物をかごに入れていました。
「わざわざいいですよ」
そう伝えましたが、その方は首を横に振ります。
「せっかくレジまで持っていったのに、戻してもらったでしょう。悪かったなと思って」
私はそこで初めて、その方も三日前のことを気にしていたのだと分かりました。
会計を済ませたあと、お菓子についてはその場で責任者に確認しました。受け取っても問題ないとのことだったので、お礼を言って預かりました。
その方はそれから、ときどき店に来られるようになりました。顔を合わせると「今日はちゃんと財布あるよ」と笑うこともありました。
財布を忘れた夜、私は特別なことをしたわけではありません。ただ、困っている人に「大丈夫ですよ」と声をかけただけです。
それでも三日後、わざわざ戻ってきてくださったことがうれしくて、今でもよく覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














