「今、近くまで来てるんだけど。いる?」約束していないのに家のそばまで来た保護者。今ものぞき穴を確認してしまう理由
少しずつ、聞かれることが増えていった
学校の行事で知り合った方がいました。最初は、顔を合わせれば挨拶をする程度の間柄です。行事の連絡に必要だからと、連絡先だけは交換していました。
「おはようございます」
いつも向こうから明るく声をかけてくれるので、私は感じのいい方だと思っていました。同じ学校に通う子どもがいる保護者同士ですし、少しくらい話すことにも抵抗はありませんでした。
ところが、ある時期から話題が少しずつ変わっていきました。
ある日、玄関先で立ち話をしていると、何気ない調子で聞かれました。
「今日は旦那さん、家にいるの?」
さらに、夕飯は何を作るのか、仕事は何曜日が休みなのか、普段どこへ買い物に行くのか、親は近くに住んでいるのか。
どれも世間話と言われればそうなのかもしれません。ただ、次々と聞かれるうちに、私は少し答えづらさを感じるようになりました。
それでも、その場で「聞かないでください」と言うほどのことなのか迷い、当たり障りのない範囲で答えていました。話し好きな方なのだろうと思うことにしていたのです。
返事をしていないのに、三通目が届いた
その後、個人的な連絡も増えていきました。
ある日、短いメッセージが続けて届きました。私は手が離せなかったこともあり、返事をしないままにしていました。
それでも二通目が届き、しばらくすると三通目も表示されました。
そこには、こう書かれていました。
「今、近くまで来てるんだけど。いる?」
私は画面を見たまま、返事ができませんでした。
先に予定を聞かれていたなら、都合が悪いと断ることもできます。けれど、もう近くまで来ていると言われると、急に選択肢がなくなったような気がしました。
結局、その日は返事をしませんでした。
ドアの向こうから足音が聞こえたわけではありません。しばらくして、そっとのぞき穴を確認しましたが、通路には誰もいませんでした。
それまでの私は、家のチャイムが鳴っても、まずのぞき穴を見るような人間ではありませんでした。けれど、その日を境に、誰かが来ると先に外を確認するようになりました。
悪い人だったとは、今も言い切れない
私はその後、少しずつ関わりを減らしました。学校の行事が終われば立ち話をせず帰り、メッセージにもすぐには返さないようにしました。
はっきり拒絶したわけではありません。ただ、こちらから距離を置けば、それ以上連絡が増えることはありませんでした。
別の保護者に少しだけ話したことがあります。
「人懐こい方なんじゃない?」
そう言われて、私も「そうかもしれない」と答えました。
実際、家に入ってこられたり、何かを取られたりしたわけではありません。挨拶もいつも向こうからしてくれました。悪意があったのかどうかも、今となっては分かりません。
その後、子どもの学校が変わり、その方とは会わなくなりました。
それでも今も、玄関のチャイムが鳴ると、私はまずのぞき穴を見ます。宅配便が来る予定だと分かっている日でも、一度確認してからドアを開けます。
あの方が、なぜあれほど私の暮らしを知りたがったのか。それだけは今も分からないままです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














