「車庫の中なら大丈夫だと思っていました」昼夜に響くバイク音に悩んだ私へ、隣のご主人が返した言葉
休みたい昼に響くエンジン音
休日の昼すぎ、布団で横になって目を閉じたところ、突然バイクのエンジン音が響きました。窓ガラスがびりびりと震えるほどの音です。
私が暮らすアパートの2階は、隣の一戸建ての車庫と向かい合っています。
音はその車庫から聞こえてきていました。
隣のご主人は50代くらいで、昼だけでなく夜にもバイクのエンジンをかけることがありました。
多い日は1日に3度ほど。シャッターが閉まっていても、部屋の中まで低い音が響いてきます。
当時の私は体調を崩していて、少しでも長く眠りたい時期でした。それでも、ようやく休めそうだと思ったところで音が始まると、なかなか眠れません。
さらに夜中の12時をすぎると、今度は「ドーン、ドーン」とボールをつくような音が聞こえる日がありました。長いときには2時間ほど続きます。
実家の姉に電話で相談すると、少し間を置いてから言われました。
「向こうは、こっちまで聞こえてるって気づいてないのかもよ」
「やっぱり、一度言ったほうがいいかな」
「怒るんじゃなくて、眠れなくて困ってるって伝えてみたら?」
私も、このまま我慢し続けるより、一度きちんと話してみようと思いました。
その夜、訪ねてきたご主人
次の日の夕方、隣の家の前で40代くらいのお母さんが掃除をしていました。私はアパートの階段を下り、思い切って声をかけました。
「隣のアパートの者です。少しお話ししてもいいですか」
お母さんがこちらを向いたので、私はできるだけ落ち着いて話しました。
「車庫のバイクの音が、昼も夜も部屋まで響いてくるんです。体調を崩していて、なかなか眠れなくて…」
少しためらってから、夜中の音についても伝えました。
「それと、12時をすぎてからボールをつくような音が聞こえることもあって」
すると、お母さんは驚いたように車庫のほうを見ました。
「ボールの音まで…。娘の練習です。そんなに響いていたんですね。全然気づいていませんでした。ごめんなさい」
そこで初めて、夜中の音が中学生の娘さんのバスケットボールの練習だったと分かりました。
その夜8時ごろ、部屋のチャイムが鳴りました。ドアを開けると、隣のご主人が立っていました。
ご主人は帽子を取り、深く頭を下げました。
「車庫の中なら大丈夫だと思っていました。すみません」
「いえ。伝わってよかったです」
「これからエンジンをかけるのは、休みの日の昼に1時間だけにします。娘にも話しました」
その言葉どおり、次の日から平日にエンジン音が響くことはなくなりました。娘さんも学校の体育館で練習するようになったと、後日お母さんから聞きました。
アパートの1階に住む年配の女性も、顔を合わせたときに「最近、静かでいいわね」と笑っていました。
ある朝、ゴミ出しの帰りに、制服姿の娘さんと門の前で目が合いました。娘さんはボールの入ったバッグを肩にかけ直し、小さく頭を下げました。
「うるさくして、すみませんでした」
「体育館なら、思いきり練習できるね」
娘さんは小さくうなずき、そのまま学校へ向かいました。
その夜も外は静かでした。久しぶりに朝まで一度も目を覚まさず眠ることができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














