「すみません、すぐ片付けますので」プールの排水に怒る隣人。だが、夫の改築で状況が一変
バケツの水が、私の足元にぶちまけられた
三軒並びの真ん中に建つ我が家では、夏になるとガレージにビニールプールを広げるのが恒例でした。
遊び終えた水は庭にまいたり、道路脇から排水溝へ少しずつ流したり。三、四年、ずっとそうしてきて、誰からも何も言われたことはなかったのです。両隣はどちらも年配の女性で、顔を合わせれば穏やかに挨拶を交わすだけの、ごく普通の関係でした。
その日も、曇ってきたのでプールを片付け、いつものように水を流していました。すると掃除をしていた右隣の奥さんが、ちょうど目の前に現れたのです。
「こんにちは」
挨拶した次の瞬間でした。奥さんはバケツを抱え、私の流した水の上に音を立てて水を浴びせ始めたのです。
「すみません、すぐ片付けますので…」
その水が汚いとでも言いたげな態度に、頭が真っ白になりました。普段は穏やかに挨拶を交わしていた人です。怖くなって、私は水もそのままに家へ駆け込みました。胸の奥がずっとざわついて落ち着きませんでした。
味方の登場で、隣人は何も言えなくなった
数日後、勇気を出して左隣の奥さんに話を聞いてもらいました。すると、あっさりこう返されたのです。
「自分のお宅の敷地で子どもが遊んで、何が悪いっていうの」
「でも、また怒られるかと思うと出るのが怖くて」
「大丈夫。今度から私も庭に出てるから。一緒にいれば怖くないでしょ」
その言葉で、しぼんでいた気持ちがすっと立ち直りました。夫に相談すると、こう言って腕まくりをしてくれたのです。
「だったら、文句のつけようがない流し方にすればいい」
夫は週末をかけて排水の道筋を見直し、水が右隣の前を通らないよう、すべて庭側へまとめて流す経路に切り替えてくれました。
これでもう、後ろめたさを感じる理由はどこにもありません。
次の週末、子どもたちはまた元気にプールではしゃぎました。
私が堂々と庭へ水を流していると、右隣の窓がガラッと開く音がしたのです。
「整えたんだけど、どうでしょう?」
右隣の奥さんは、言葉を探すように口を半分開けたまま、結局何も言えませんでした。やがて、そっと窓が閉じられたのです。
その夏、もう怒声が響くことはありませんでした。
あれだけ身がすくんでいた水の片付けも、味方が一人いるだけでこんなに気が楽になるのかと思いました。聞こえてくるのは、子どもたちのはしゃぐ声だけでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














