「はい、あなたはこっちね」妻にだけ料理を少なく出す義母。だが、娘の無邪気な疑問で状況が一変
息子だけが特別な人
正月、親戚一同が義実家に集まっていた。
台所から次々に運ばれてくる料理を、義母は夫の前にばかり並べていく。刺身も、煮物も、いいところは全部息子の皿だ。
私の前に置かれた皿は、誰が見ても量が少なかった。
他の親戚には気前よくよそうのに、私にだけはいつもこうなのだ。
義母にとって、息子である夫は昔からずっと最優先で、嫁の私は数に入っていないのだと思う。結婚してから何年経っても、その序列は変わらなかった。
「はい、あなたはこっちね」
義母がそう言って私に渡したのは、取り分けの残りのような小鉢だった。
娘が生まれてからというもの、その差はますます隠さなくなっていた。
(お正月くらい、普通にしてほしいな)
そんな本音を飲み込んで、私は箸を取った。
子どもが見抜いた不公平
すると、隣で料理を待っていた小学生の娘が、テーブルの上をじっと見回していた。そして、はっきりとした声で言った。
「ママのごはんだけ少ないよ」
楽しげだった食卓が、その一言でしんと静まり返った。
「パパのはいっぱいなのに、どうして?」
娘は本当に不思議そうな顔をしていた。悪気などまるでなく、ただ目の前の光景をそのまま口にしただけだ。
だからこそ、その言葉は誰よりも鋭く響いた。義母は箸を宙で止めたまま、みるみる表情をこわばらせていく。
親戚たちも、気まずそうにお互いの顔をうかがっている。誰もが薄々気づいていたことを、子どもの一言があっさりと表に引きずり出してしまったのだ。
私は娘の頭にそっと手を置きながら、この場をどう収めればいいのか分からずにいた。
夫が守ってくれた日
その空気を変えたのは、隣にいた夫だった。
いつもは義母に何も言わない人が、静かに口を開いた。
「見ていていい気しない」
低いけれど、はっきりとした声だった。
「母さん、こういうのやめてよ。」
義母は目を見開き、言葉に詰まった。言い訳を探すように視線を泳がせたあと、力なくうつむいてしまう。周りの親戚も、静かに夫のほうへうなずいていた。
「……悪かったわ」
絞り出すようにそう言うと、義母は私に向かって深く頭を下げた。それから慌てて立ち上がり、私の皿に料理を盛り足していく。その手が、少しだけ震えているのが見えた。
それまで私と目も合わせなかった人が、その日は何度も「これも食べて」と勧めてくる。娘の素直な一言と、味方になってくれた夫のおかげで、長いあいだ抱えていたわだかまりが、正月の食卓でほどけていった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














