「ご飯の片付けは、嫁の仕事でしょ」男性陣が誰も動かない親戚の食事会。だが、夫が自ら食器を運んだ瞬間
食事が終わると、なぜか女性だけが立っていた
結婚して間もない頃、義実家で親戚が集まる食事会がありました。
大人が十人ほど集まり、義母や親戚の女性たちと一緒に料理を並べたり、足りない取り皿を出したりしているうちに、私はほとんど座る暇もなく動いていました。
一方、夫や義父たち男性陣は座敷でテレビを見ながら食事をしています。
食事が終わると、女性たちは自然と空いた皿を重ね始めました。
私も立ち上がろうとしたとき、義母が湯呑みをこちらへ差し出しました。
「これもお願い。ご飯の片付けは、嫁の仕事でしょ」
冗談めかした口調でしたが、私はうまく笑えませんでした。
夫を見ると、夫はその言葉を聞いていたはずなのに、テレビのほうを向いたままです。
結局その日は、義母たちと皿を運び、洗い物まで済ませてから帰りました。
帰りの車の中で、私は夫に伝えました。
「片付けそのものより、あなたが何も言わずに座っていたのが嫌だった」
夫は最初、「昔からああなんだよ」と言いました。
「でも私は、あなたの家の昔からのやり方を知ってるわけじゃないよ」
そう返すと、夫はしばらく黙りました。
その日の夜にも話し合い、夫は最後に「確かに、自分だけ座ってたな」と小さく言いました。
夫が皿を持って立ち上がった
それからしばらくして、再び義実家で親戚と食事をする機会がありました。
以前と同じように食事が終わり、私が自分の皿を持って立とうとした、そのときでした。
夫が先に立ち上がりました。
「俺のも持っていくよ。そっちの皿も貸して」
そう言って、私の前にあった皿まで重ねます。
義母が驚いたように夫を見ました。
「そんなことしなくていいのよ。片付けはこっちでやるから」
すると夫は、ごく普通の調子で答えました。
「俺も食べたんだから、運ぶくらいやるよ」
それだけ言って、皿を台所まで運んでいきました。
大げさに義母を責めるわけでもなく、誰かに手伝えと命じるわけでもありません。
けれど、その様子を見ていた義父も、少し遅れて自分の茶碗を持って立ち上がりました。
「じゃあ俺もこれくらい持っていくか」
親戚の男性のひとりも、自分の皿を手に取ります。
全員が一斉に動いたわけではありません。それでも、前回のように女性だけが黙って片付ける空気ではなくなっていました。
台所で夫と並んだとき、私は小さな声で「ありがとう」と言いました。
夫は「前は気づいてなかった」と少し気まずそうに笑いました。
義母はその日も「今まで男の人はやらなかったのに」と少し不満そうでしたが、夫は特に言い返しませんでした。
それ以降、義実家へ行くと夫は自分の食器を下げるようになり、義父も時々それにつられて動くようになりました。
昔からの習慣が一日で全部変わったわけではありません。
それでも、「嫁がやるのが当たり前」と私ひとりに任されることは、少しずつ減っていきました。
あの日、夫がただ皿を持って立ち上がったこと。それだけでも、私には十分うれしい変化でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














