「これ、誰に送るつもりだった」彼に誤送信した会いたくないの本音。だが、怒鳴る彼に別れを告げたワケ
昼間の酒のにおいと、開いたままの携帯電話
20年以上前、30代で離婚した私は、小学生の子どもと2人で暮らしていました。
そのころ付き合っていたのが、7つ年上の彼です。
はじめは穏やかな人でしたが、酒が入ると声が大きくなり、思いどおりにならないことがあると怒鳴ることがありました。
その日は午前中で仕事を上がり、午後から彼と喫茶店で会う約束をしていました。
仕事を終えたあと、私は折りたたみ式の携帯電話で友人にメールを打ちました。
「行きたくない。会いたくない。うざい。」
送信してから宛先を見て、血の気が引きました。
友人ではなく、彼の名前になっていたのです。
約束していた喫茶店へ行くと、彼は奥のテーブル席に座っていました。手もとには、開いたままの携帯電話があります。
向かいに腰を下ろした瞬間、昼間なのに彼から酒のにおいがしました。
彼は私の顔を見るなり、携帯電話の画面をこちらへ向けました。
「これ、誰に送るつもりだった」
「…ごめん。送る相手を間違えたの」
「間違えたって、これを書いたのはお前だろ」
声が一気に大きくなり、彼は平手でテーブルをたたきました。水の入ったコップが揺れます。
隣の席で新聞を読んでいた男性が顔を上げ、通路の向こうにいた女性2人も話すのをやめてこちらを見ました。
迎えの時間を前に、席を立った私
時計を見ると、学童へ子どもを迎えに行く時間が近づいていました。
「もう迎えに行かないと。今日は帰るね」
すると彼は舌打ちをして、身を乗り出しました。
「子どもの迎えなんか後にしろ。まず、俺にちゃんと謝れ」
その言葉を聞いた瞬間、私は言い返すより先に、すっと気持ちが冷めていくのを感じました。
自分が怒っていることより、子どもの迎えまで後回しにしろと言われたことのほうが、私にはずっと大きな問題に思えたのです。
私は自分のコーヒー代をテーブルに置き、立ち上がりました。
「おい、座れ。まだ話は終わってない」
「宛先は間違えた。でも、書いたことは間違いじゃない」
彼は口を開きかけたまま、黙りました。
私は続けました。
「子どもの迎えを後回しにしろって言う人とは、もう会わない」
彼は椅子から腰を浮かせ、何か言おうとしました。しかし、先ほど顔を上げた隣の男性も、通路の向こうの女性2人も黙ってこちらを見ています。
彼は周囲に気づくと、そのまま椅子に座り直し、開いた携帯電話へ目を落としました。
私は振り返らずに店を出て、そのまま学童へ向かいました。
それきり彼からの電話には出ませんでした。何日かして彼からメールが届きましたが、私は「さようなら」と一行だけ返しました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














