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2026.11.02(Mon)

「でも、何も植えてなかったですよ」勝手に花壇を使う隣のおじいさん。だが、大家さんの説明に言い返せなくなった

「でも、何も植えてなかったですよ」勝手に花壇を使う隣のおじいさん。だが、大家さんの説明に言い返せなくなった

留守のたびに増えていく苗

私が暮らす賃貸住宅には、部屋ごとに小さな花壇があります。

私も好きな花を植えようと、肥料を混ぜて土を整えていました。

ところがある日、仕事から帰ると、花壇の真ん中に見覚えのない苗が植えられていたのです。

それからも留守にするたびに苗が増え、いつの間にか私の花壇は、知らない花でいっぱいになっていました。

植えていたのは、隣の部屋のおじいさんでした。

向かいの部屋の奥さんによると、ほかの花壇でも苦情を受けたことがあり、それからは住人が留守の間に植えるようになったそうです。

ある日の昼、私が苗のポットを持って花壇へ行くと、おじいさんがしゃがんで、また新しい苗を植えていました。

「ああ、ちょうどよかった。花が増えて、きれいになったでしょう」

「あの、ここは私の部屋の花壇なんですけど……」

「うん。でも何も植わってなかったからね。空いてるのはもったいないと思って」

「これから植えるつもりで、土を準備していたんです」

私が手に持った苗を見せると、おじいさんは花壇の端を指さしました。

「それなら、そっちに植えたらどうかな。真ん中は今の花のほうがよく見えるから」

「でも、私が使う花壇なので、勝手に植えられると困るんです」

「せっかく植えたんだし、そのままでもいいでしょう」

悪気はないのかもしれませんが、こちらの話を聞いてもらえません。

自分の花壇なのに、好きな場所に花を植えられないなんて。私は困り果ててしまいました。

大家さんの前で、言葉が消えた朝

その晩、大家さんに電話で相談しました。すると、ほかの部屋からも同じような相談を受けているとのこと。直接話をしてくれると言ってくれました。

別の日の朝、大家さんが私の花壇の前に来ると、ちょうどおじいさんが隣の部屋から出てきました。

私は自分の玄関先から様子を見ていました。

「ちょっと、この花壇のことでお話があるんですが」

大家さんが声をかけると、おじいさんは不思議そうな顔をしました。

「何ですか?」

「こちらの花壇に、お花を植えられましたよね」

「ええ。空いてたから植えたんです。花があったほうが、みんなも喜ぶでしょう」

すると、大家さんは落ち着いた声で伝えました。

「花壇は、それぞれのお部屋のものです」

「でも、何も植えてなかったですよ」

「何も植わっていなくても、そのお部屋の方が使う場所なんです。ほかの方からも同じご相談をいただいていますし、勝手に植えるのはやめていただけませんか」

おじいさんは黙って花壇を見つめていました。

大家さんは続けました。

「今植えてあるものも、ご自分の花壇へ移してください」

おじいさんは何か言いかけ、通路の向こうへ目を向けました。そこには、玄関先に出ていた向かいの奥さんがいました。

奥さんが静かに首を横に振ると、おじいさんはそれ以上何も言わず、うつむいて自分の部屋へ戻っていきました。

翌日、花壇を見ると、見知らぬ苗はすべておじいさんの花壇に移されていました。

私はようやく、自分で選んだ苗を花壇の真ん中に植えることができました。

春になって花が咲くと、向かいの奥さんが花壇をのぞき込んで言いました。

「真ん中に咲くと、やっぱり映えますね」

「ありがとうございます。やっと植えられました」

隣では、おじいさんが苗でいっぱいになった自分の花壇の前にしゃがみ、こちらに背を向けていました。

自分の花壇に、自分の好きな花を植える。当たり前のことができるようになって、ほっとしました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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