「ないものはないって」借金を返そうとしない彼。別れたあとの引っ越しで、母親に60万円以上の借金が知られた結果
何度貸しても返ってこないお金
15年ほど前のことです。当時の私には、学生のころから5年以上付き合っている、2歳年下の彼がいました。
社会人になっても彼の収入は少なく、たびたびお金を貸してほしいと頼まれていました。
「悪いんだけど、一万円貸してくれない?」
そう言われるたびに渡していましたが、一度も返ってきません。
食事に出かけても、私が多めに払うのが当たり前になっていました。
そんなある日、彼が「アパートの更新を断られた」と言って、私の部屋に住むようになりました。
半年ほどして私が引っ越した際、彼もいったん別の部屋を借りました。
ところが、その後また「更新ができなかった」と言って、私の新しい部屋に転がり込んできたのです。
これで2度目でした。
さすがに生活費をすべて負担するのは厳しく、私は彼にお願いしました。
「せめて食費だけでも出してくれない?月一万円でいいから」
「うん、わかった」
最初の数か月は払ってくれましたが、それもすぐに途絶えてしまいました。
ある夜、家計簿を見ながら、もう一度話をしました。
「今月も食費、もらってないんだけど」
「ないものはないって。しょうがないだろ」
彼はソファに寝そべったまま、こちらを見ようともしません。
「じゃあ、今まで貸したお金はどうするの?」
「そのうちな」
いつも同じ返事でした。
何度話しても変わらない彼に、私はもう限界を感じていました。このまま一緒に暮らすことはできないと思い、別れを告げたのです。
母親が知った60万円以上の借金
別れたあとも、彼の行き先が決まるまでは部屋にいてもらいました。
そして引っ越し当日。昼ごろ、彼の母親が荷物運びを手伝いに来ました。
玄関には段ボールが積み上がり、彼も荷物を運び出そうとしていました。
「本当に、長いことお世話になりました」
母親が私に頭を下げました。
私は少し迷いましたが、お金のことをうやむやにしたくありませんでした。
「あの、実はお話ししておきたいことがあるんです」
そう言って、5年以上つけてきたノートを差し出しました。彼に貸したお金を、その都度記録していたものです。
「これ、彼に貸したお金の記録なんです。全部で60万円以上あります」
母親は驚いた様子でノートを受け取り、何ページかめくりました。そして、段ボールを抱えた息子を振り返りました。
「あんた、60万円も借りてたの?」
「いや、その……俺も苦しかったし」
「苦しかったのは分かるけど、借りたものは返さなきゃだめでしょ」
彼は黙っていました。
「一度に返せないなら、毎月少しずつでも返しなさい。ちゃんとね」
「……うん」
彼は小さく返事をしたきり、うつむいてしまいました。
ちょうどそのとき、上の階の人が階段を下りてきて、気まずそうに会釈しながら通り過ぎていきました。
私が何度言っても「そのうち」と答えていた彼が、母親の前では何も言い返せなくなっていました。
その翌月から、私の口座には少しずつお金が振り込まれるようになりました。
ただ、振込人の名前は彼ではなく、母親でした。
彼が母親に頼んで振り込んでもらっていたのか、母親が代わりに返していたのかは分かりません。
それでも、ずっと返ってこなかったお金が、ようやく返され始めたのです。
あのとき、貸したお金を記録しておいてよかったと思いました。
今でも当時のことを思い出すと、段ボールを抱えたまま、母親の前でうつむいていた彼の姿が浮かんできます。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














