「順番を待つのは、うちの子には無理」公園で順番を抜かした親子。だが、他の父親の一言で態度が一変
あと3人、と数えながら待っていた娘
休日の午後、7歳の娘と近所の公園へ遊びに行きました。
娘のお目当ては、いつも子どもたちが並んでいる人気の遊具です。その日も、前には3人ほど待っていました。
「あと3人だね」
「うん。すぐだね」
娘は最後尾に立ち、前の子が遊び終わるたびに少しずつ進んでいきます。私は少し離れたところから、その様子を見ていました。
やがて前にいるのは、あと1人だけになりました。
そのとき、横から小学生くらいの男の子を連れた母親がやってきました。
そのまま列には並ばず、男の子を娘の前へ入れようとしたのです。
「待つのは、うちの子には無理なんです」
突然前に入られ、娘は戸惑ったように私を見ました。
私は慌てて近づき、母親に声をかけます。
「すみません。うちの子、ここでずっと並んでいたんです」
すると母親は、少し困ったような顔をしながら答えました。
「この子、順番を待つのが苦手なんです。先にやらせてもらえませんか」
お願いというより、もう決まったことのような言い方でした。
「でも、みんな並んでいますから……」
そう返すと、母親は娘を見て言いました。
「そちらのお子さんは、大人しく待てるんだから大丈夫でしょう」
「待つのは、うちの子には無理なんです」
周囲にいた保護者も、こちらを気にしている様子でした。
私は娘の手を取ろうとしました。別の遊具へ行けば、これ以上嫌な思いをしなくて済みます。
ところが、私が手を伸ばすより先に、前に並んでいた子どもの父親が振り返りました。
「それでも待つから、順番なんですよ」
父親は母親を責めるような口調ではなく、静かに言いました。
「待つのが好きな子なんて、たぶんいませんよ」
母親が黙ります。
父親は続けました。
「それでもみんな待っているから、順番になるんじゃないですか」
近くにいた別の保護者も、「最後尾はあちらですよ」と列の後ろを指しました。
母親は周囲を見回し、しばらくしてから男の子の手を引きました。
「……じゃあ、後ろに行こう」
二人はそのまま最後尾へ向かいました。
娘は何も言わず、元いた場所に戻ります。
やがて前の子が遊び終わり、娘の番になりました。
「どうぞ」
先ほど声をかけてくれた父親に促され、娘はうれしそうに遊具へ駆けていきました。
帰り道、娘がぽつりと言いました。
「ちゃんと並んでてよかったね」
「うん。ちゃんと見てくれている人がいたね」
あのとき私が娘の手を引いてその場を離れていたら、娘は「並んでも意味がない」と感じていたかもしれません。
順番を守るという当たり前のことを、きちんと守っていいのだと伝えてくれた父親のひと言が、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














