「客を待たせて平気なのか?」混雑する定食屋で店員を責め続けた客。だが、店長の一言で黙った瞬間
何度も店員を呼び止める男性客
用事の合間に時間ができて、一人で定食屋に入った日のことです。
ちょうど昼どきで、店内の席はほとんど埋まっていました。
厨房からは食器の音や注文を確認する声が聞こえ、店員さんたちは忙しそうに店内を行き来しています。
私も注文を済ませ、料理を待っていました。
すると隣のテーブルから、男性客の低い声が聞こえてきたのです。
「まだなの?もう結構待ってるんだけど」
若い女性店員が足を止めました。
「申し訳ございません。ただいま混み合っておりまして、順番にお作りしております」
男性は不満そうに顔をしかめます。
「さっきも同じこと言ったよな。あと何分なんだよ」
入店したとき、私も「ただいま混雑しているため、料理の提供まで少しお時間をいただきます」と案内されていました。
男性も同じ説明を受けていたようですが、数分おきに店員を呼び止めているようでした。
「客を待たせて平気なのか?」
声は店中に響くほど大きくありません。それでも、何度も繰り返される強い口調に、周囲の空気は少しずつ重くなっていきました。
近くの席のお客さんも、ちらりと男性のほうを見ては、すぐ食事に視線を戻しています。
やがて男性は、
「もう店長呼んで」
と言いました。
店長が伝えたこと
しばらくして、厨房の奥から店長らしき男性が出てきました。
テーブルの横まで来ると、まず男性客に頭を下げます。
「お待たせして申し訳ございません」
男性はすぐに言いました。
「遅すぎるでしょ。何回聞かせるんだよ」
店長は言い返さず、落ち着いた声で説明します。
「申し訳ございません。確認しましたところ、あと5分ほどでお出しできます。ただ、これ以上お待ちいただくことが難しいようでしたら、こちらで注文を取り消すこともできます」
男性は少し黙りました。
店長は続けます。
「お待ちいただける場合は、できあがり次第すぐにお持ちします」
しばらくして、男性は小さな声で、
「……じゃあ待つよ」
と答えました。
「ありがとうございます。お待たせして申し訳ございません」
店長はもう一度頭を下げて、厨房へ戻っていきました。
それから男性が店員を呼び止めることはありませんでした。
ほどなくして料理が運ばれてくると、男性は黙って食事を始めました。
それまで張り詰めていた店内も、少しずついつもの雰囲気に戻っていったように感じます。
男性が会計を済ませて店を出たあと、近くの席にいた年配の女性がレジで、
「忙しいのに大変ね。ごちそうさま」
と店員さんに声をかけていました。
店員さんは少し驚いたような顔をしてから、「ありがとうございます」と笑っていました。
私も会計を済ませて店を出ました。
混雑していれば、料理を待つ時間が長く感じることもあります。それでも、店員さんを何度も責めたところで、料理が早くできるわけではありません。
あのときの店長の落ち着いた対応が、今でも印象に残っています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














