「今カメラ回してるの、あとにして」いちご狩りで娘から目を離した夫婦。だが、スタッフが注意した結果
撮影に夢中だった隣の家族
息子が何日も前から楽しみにしていた、いちご狩りの日のことです。
受付では、収穫するレーンは家族ごとに決まっていること、小さな子どもは保護者が手をつないで歩くことを説明されました。
夫と小学2年生の息子、そして私は3番のレーンへ。
隣の4番には、若い夫婦と3歳くらいの女の子がいました。
その夫婦は、どうやら動画撮影に夢中のようでした。
お母さんがスマートフォンを構え、お父さんはいちごを片手にカメラへ向かって話しています。
何度も撮り直しては、2人で画面をのぞき込んで笑っていました。
ところが、その間に女の子が私たちのレーンへ入ってきたのです。
最初は息子も「いちご、すき?」と話しかけていました。
しかし、女の子は息子があとで採ろうとしていた大きないちごをもぎ取ってしまいました。
それだけではありません。まだ青くて硬い実まで次々と採り、足元に落としていきます。
「あっ……それ、ぼくが採ろうと思ってたのに」
息子は残念そうに、いちごの茎を見つめていました。
下の段にあった赤い実も、ほとんど残っていません。
さすがに見過ごせず、私は隣の夫婦に声をかけました。
「すみません。お子さん、こっちのレーンに来ちゃってるんですけど…」
すると、お母さんはスマートフォンを構えたまま、こちらも見ずに言いました。
「今カメラ回してるの、あとにして」
「でも、まだ青いいちごまで採っちゃってて…」
すると今度は、お父さんが面倒くさそうに口を開きました。
「子どもなんだから、少しくらい平気ですよ。いちごなんて、また生るでしょ」
その言い方に、私は思わず言葉を失いました。
しかも、その直後です。女の子が突然、通路をハウスの奥へ向かって走りだしたのです。
その先には、ミツバチがいます。
スタッフの注意に止まった撮影
「あっ、危ない!」
私が声を上げたとき、通路の先を見回っていた50代くらいの女性スタッフが、女の子を止めてくれました。
スタッフは女の子と手をつなぎ、4番のレーンへ戻ってきました。
「すみません。お子さん、奥まで走って行こうとしていましたよ」
お父さんが何か言いかけましたが、スタッフは落ち着いた声で続けました。
「危ないので、小さいお子さんからは目を離さないでくださいね」
さらに、3番のレーンの足元に落ちている青いいちごに目を向けました。
「こちらにも、まだ青い実が落ちていますね。いちごは決められたレーンで採っていただくようお願いしています」
そして夫婦のほうを見て、もう一度伝えました。
「撮影もいいんですが、まずはお子さんの安全を見てあげてください」
近くのレーンにいた家族連れも、手を止めて様子を見ています。
さっきまで「少しくらい平気」と言っていたお父さんは、何も言い返しませんでした。
お母さんもスタッフの顔を見たあと、ようやくスマートフォンを下ろしました。画面を操作し、それまで続けていた撮影を止めたようでした。
お父さんは黙ってスタッフから女の子の手を引き取り、4番のレーンへ戻っていきました。
その後、夫婦が再びスマートフォンを構えることはありませんでした。
楽しい思い出を動画に残したい気持ちは分かります。でも、そのために子どもから目を離してしまっては、何より大切な安全を守れません。
息子が楽しみにしていたいちご狩りだっただけに、少し残念な気持ちも残りました。それでも、スタッフがきちんと注意してくれたことには、ほっとしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














