「どこに出したって燃やすのは一緒だろ」夜にゴミを置いて去った男性。だが、回収されなかった袋から見えた住所
夜の集積所に置かれたゴミ袋
道路に面した私の家から数歩のところに、町内のゴミ集積所があります。
ゴミは収集日の朝に出す決まりで、次の日は燃えるゴミの日でした。
残業を終えて歩いて帰ってきた夜、集積所の前に一台の車が止まりました。
降りてきた40代くらいの男性は、トランクからゴミ袋を取り出すと、網もかけずに集積所の隅へ置きました。
袋越しには、つぶした空き缶やプラスチックの容器も見えます。
気になって、私は声をかけました。
「すみません。ゴミを出すのは明日の朝ですよ。それに、分別も…」
すると男性は振り返りもせず、手をはたきながら言いました。
「どこに出したって、燃やすのは一緒だろ」
近所では見かけない顔でした。
「この辺りの方ですか?」
そう尋ねると、男性は舌打ちをして振り向きました。
「朝は忙しいんだ。ゴミ袋くらい黙って置かせろよ」
男性はそのまま車へ戻り、ドアを強く閉めて走り去りました。私は何も言い返せず、しばらくその場に立っていました。
残された袋から見えた一通の封筒
翌朝、集積所へ行くと、昨夜の袋だけが回収されずに残っていました。
回収できないことを知らせる紙が貼られ、破れた部分から缶や容器がこぼれています。
その週のゴミ当番は、町内にいくつかのアパートを持つ年配の男性でした。
私は一緒に散らかったゴミを拾いながら、昨夜のことを伝えました。
「昨日の夜、車で来た人が置いていったんです」
「そうだったのか。この辺の人じゃないのかな」
男性が破れた袋を持ち上げたとき、中に入っていた封筒が目に入りました。外から住所と名前が読める状態になっていました。
「あれ、この住所…となりの区だな」
さらに住所を見ると、そのアパートの持ち主は男性の古い知り合いだったそうです。
年配の男性は袋の破れた部分をテープでふさぎ、口を結び直しました。
「知っている人だから、一度知らせてみるよ」
数日後に聞いた、その後の話
数日後、集積所で会った年配の男性から、その後のことを聞きました。
ゴミ袋はアパートの持ち主に渡され、封筒に書かれていた名前から部屋も確認できたそうです。
アパートの持ち主は男性に事情を伝え、今後は決められた場所と方法でゴミを出すよう注意したとのことでした。
「本人も謝りに来たそうだよ。まさか封筒が入っているとは思わなかったんだろうな」
昨夜、あれほど強い口調で言われたことを思い出すと、私はなんとも言えない気持ちになりました。
それから、夜の集積所であの車を見ることはなくなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














