「数えてくれればいいだろ」レジで大量の小銭を出した客。だが、店長に貼り紙を示され黙った瞬間
レジ台に置かれた小銭の袋
平日の夕方、私は近所のスーパーで、夕飯の材料を入れたかごを手にレジの列へ並んでいました。
先頭にいたのは60代くらいの男性客。
そのすぐ後ろが私でした。
レジ台の内側では、20代くらいの女性店員さんがひとりで対応していました。
千円ほどの買い物だったのですが、男性は財布ではなく、重そうな布の袋をレジ台に置きました。
中からは、1円玉や5円玉がじゃらじゃらと鳴っています。
「これで払うから。余った分は札で返してくれればいいよ」
店員さんは袋を見て、一瞬戸惑った表情を浮かべました。
「申し訳ありません。当店では両替は承っていないんです」
すると男性は眉をひそめ、袋を店員さんのほうへ押し出しました。
「両替っていうか、これで払うって言ってるんだよ。数えてくれればいいだろ」
店員さんは困ったように袋と男性を交互に見ました。
「大量の硬貨でのお支払いは、お受けできないことになっておりまして…」
その間にも後ろには列ができていましたが、何人かは様子を見て隣のレジへ移っていきました。
男性はさらに声を大きくしました。
「いいよ、お前じゃ話にならないから、別の人呼んで」
私はかごを持ったまま、そのやり取りを見ていました。
店員さんは小さく「少々お待ちください」と言い、呼び出しのベルを押しました。
店長が示した、目の前の貼り紙
ほどなくして、40代くらいの店長らしき人がやってきました。
店員さんの隣に立つと、男性の話を黙って聞きます。
「この店、小銭じゃ払えないのか。金には変わりないだろ」
男性が言い終えると、店長はレジ台の手前に貼られていた小さな案内を示しました。
「お客様、こちらをご覧いただけますか」
男性もつられるように視線を落とします。
「同じ額面の硬貨は、20枚までとなります。それを超える枚数でのお支払いはお断りしています」
男性はしばらく貼り紙を見つめたまま黙っていました。案内は、最初から男性の手元のすぐ近くにあったのです。
店長は続けました。
「それと、両替だけのご利用も承っておりません。別のお支払い方法をお願いできますか」
男性は何も言わずに布の袋を引き寄せると、今度は財布を開きました。
その中には、千円札が何枚か入っていました。
隣のレジへ移っていた女性が、それを見て小さくつぶやきました。
「…お札、あったんだ」
男性はそちらを見ず、千円札を一枚トレーに置きました。会計を済ませると、小銭の袋を抱えて早足で出口へ向かっていきました。
店長は男性を見送ってから、店員さんに「ちゃんと断ってくれて大丈夫だからね」と小さな声をかけました。
そして私のほうを向き、「お待たせしました」と頭を下げます。
店員さんもほっとしたように息をつき、「お待たせいたしました」と私のかごに手を伸ばしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














