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2026.10.02(Fri)

「社会人ってほんと大変だよ」駅で友人だと思って話し続けた私。振り向いた相手の顔に固まった瞬間

「社会人ってほんと大変だよ」駅で友人だと思って話し続けた私。振り向いた相手の顔に固まった瞬間

新社会人の夜、話したいことが山ほどあった

3年ほど前、20代の私は社会人1年目で、慣れない一人暮らしを始めたばかりでした。

会社でのできごとを誰かに聞いてほしくて、うずうずしていた時期です。

その夜は歓迎会でお酒を少し飲み、ほろ酔い気分で駅に降りました。

改札に向かって歩いていると、目の前に見覚えのある後ろ姿がありました。

学生時代によく一緒にいた友人です。髪の長さも、かばんを右肩にかける癖も、ゆったりした歩き方も、間違えようがありませんでした。

こんなところで会えるなんて、と私の胸ははずみました。

改札の手前の通路は、仕事帰りの人で少し混み合っていました。

人のあいだをすり抜けて追いつき、半歩うしろから話しかけました。

「ねえ、ちょうど話したかったの。社会人ってほんと大変だよ」

相手は、こくりと小さくうなずいたように見えました。私は勢いづいて続けました。

「でね、指示を出す人が5人もいて大変なの」

「みんな言うことが少しずつ違うから、毎日メモ帳がまっ黒なの」

相手は相づちも打たず、前を向いて静かに歩いていました。

昔から、この子は黙って最後まで聞いてくれる子だった、と私はすっかり安心していました。

知らない人の、ていねいな会釈

歓迎会で出た料理のこと、部屋の洗濯機がうるさいこと。

私は5分近く、ひとりでしゃべり続けていました。相手が改札を通り、私もすぐうしろに続いて改札を抜けました。

「ごめん、私ばっかり話してるね。そっちはどう?」

そのとき、相手がゆっくりと振り向きました。見たことのない女性の顔でした。

女性は少しだけ困ったようにほほえみ、私にていねいな会釈をしました。

そのまま何も言わず、出口のほうへ歩いていきました。

私は口を開けたまま、改札の横で立ちつくしました。

ほろ酔いの気分は、どこかへ飛んでいきました。

気づくと私は、女性が向かったのとは反対の出口へ、早足どころか全力で走っていました。

部屋に着いて、本物の友人にメッセージを送りました。

「今日、あなたにそっくりな人に、5分も近況を話しちゃった」

しばらくして、友人から返事が届きました。読んだとたんに私はひとりで吹き出し、さっきまでの恥ずかしさが、少しだけ軽くなりました。

「で、その人、聞き上手だった?」

この話は、今では帰省するたびに家族の酒のさかなです。

父はグラスを置くと、決まって私に聞いてきます。

「で、その人にどこまで聞いてもらったんだ」


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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