「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
1000円で見つけた、娘が喜びそうな一枚
30年近く前、30代だった私は、10歳の息子と4歳の娘を育てていました。
そのころ子どもたちの間では、黄色いネズミのような人気のキャラクターが大流行していました。
娘もその絵を見かけるたびに、うれしそうに指をさしていました。
ある夕方、近所の衣料品の安売りの店に立ち寄ったとき、胸に黄色いキャラクターの絵が入った子ども用のトレーナーを見つけました。
値段は1000円です。
「これは喜びそう」
来年も着られるように少し大きめを選び、いい買い物ができたつもりで家へ帰りました。
居間で袋からトレーナーを出すと、娘はすぐにそばへ寄ってきました。
うれしそうにぴょんぴょん跳ねる姿を見て、私もすっかり得意になっていました。
宿題をしていた息子にも見せます。
「見て。これ、1000円だったの。かわいいでしょう?」
ところが息子は喜ぶでもなく、トレーナーに顔を近づけて、しばらくじっと見ていました。
そして不思議そうに言ったのです。
「ママ、この黄色いの、たてがみが青いよ」
よく見ると、どこか違う黄色いキャラクター
「え?たてがみ?」
私は慌ててトレーナーを持ち上げ、改めて胸の絵を見ました。
言われてみれば、黄色い体の首まわりには、青いたてがみのようなものがふさふさと生えています。
胸に入った英語のつづりも、よく見ると見慣れたものとは一文字違っていました。
息子がぽつりと言いました。
「これ、似てるけど…違うやつじゃない?」
一気に恥ずかしくなった私は、さっきまで得意げに広げていたトレーナーを袋へ戻そうとしました。
すると、娘がすぐに手を伸ばします。
「えー、かわいい!これ着る!」
青いたてがみも気に入ったようで、娘はむしろ大喜びでした。
それからというもの、娘はそのトレーナーを何度も着ました。洗ったばかりなのに着たがることもあり、黄色が少しずつ白っぽくなっても、袖が短くなってもお気に入りのままでした。
数年たっても、娘には大切な一枚だった
数年後の日曜日。小学生になった娘が、あのくたびれたトレーナーを着て居間へやってきました。
胸の青いたてがみは、洗濯を重ねてすっかり水色になっています。
娘は胸の絵を見せながら、得意そうに言いました。
「これね、私だけのキャラなんだよ」
買った日のことを思い出して、私は思わずふき出しました。
そこへ廊下を通りかかった息子も顔をのぞかせます。
「まだ着てるの、それ」
「だって好きなんだもん」
そう答えて胸を張る娘を見ていると、あの日、恥ずかしくなって袋へ戻そうとしたことまでおかしく思えてきました。
私にとっては買い物の失敗だった一枚も、娘にとってはずっと大切なお気に入りだったようです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














