同じ紺色のトランクを間違えた私。「派手な布を巻けば分かるよ」と言われて試したものの
同じ紺色のトランクを持ち帰りかけた夜
40代の私が、トランクの目印を真剣に考えるようになったのは、ある帰省の帰りのことです。
夜9時ごろに空港へ着き、最寄り駅まで空港バスに乗りました。
駅前の降り場では、制服姿の男性係員が荷台からトランクを一つずつ出して並べています。
私はその中から、いつもの紺色のトランクを見つけて歩き出しました。
形も色も同じで、角には見覚えのあるような小さなすり傷まであります。すっかり自分のものだと思い込んでいました。
ところが、タクシー乗り場で何気なく持ち手を見ると、見覚えのないお守りが結んであります。
「…これ、私のじゃない」
慌てて確認すると、すぐ隣に並んでいた、まったく同じ形と色の別の方のトランクでした。
相手の方も私のトランクを持って帰りかけていたそうで、バス会社に間に入ってもらい、無事に交換することができました。
どちらのトランクにも鍵はかかっていませんでした。
相手の方は怒ることもなく、穏やかに言ってくださいました。
「おたがい様ですから、気にしないでくださいね」
「ありがとうございます。本当に助かりました」
ほっとしたものの、対応に時間がかかり、帰宅は予定より3時間遅れました。
タクシー代も約8000円かかり、私はすっかり疲れ切っていました。
後日、喫茶店でその話をすると、友人はカップを置いて言いました。
「同じトランク、たくさんあるから目印をつけてるの」
「目印?」
「持ち手に派手な布を巻くだけ。遠くからでも分かるよ」
スカーフの次は、キーホルダー
その夜、私はさっそく引き出しから花柄のスカーフを出し、持ち手にきゅっと巻きました。
「これなら、もう間違えないはず」
ところが次の旅行から戻ると、スカーフは荷物の受け取り台を回るうちに真っ黒に汚れていました。
洗っても汚れが残り、私はしぶしぶ外すことにしました。
次に選んだのは、手のひらほどのかわいいキーホルダーです。
今度こそと思って飛行機に預けたのですが、戻ってきたトランクの持ち手に残っていたのは、ちぎれた金具だけ。
肝心の飾りは、どこにもありませんでした。
おみやげを渡しに友人と会ったとき、その持ち手を見せると、友人は目を丸くしました。
「キーホルダー、どこに行ったの」
「たぶん、ひとりで別の旅に出ちゃった」
次に考えたのは、大きなシール
今は、トランクの真ん中に大きなシールを貼る作戦を考えています。
これならちぎれる心配はないし、スカーフほど汚れも気にならないはずです。
私が自信たっぷりに話すと、友人は少し考えてから首をかしげました。
「でもシールって、角からめくれてくるんだよね」
なるほど、目印選びもなかなか簡単ではないようです。次の旅行までに、もう少し考えてみようと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














