「遊園地まで10キロくらいでしょ、歩いちゃおうか」バスが走らない平日に歩いた私たちが、男性から聞かされた現実
バスが来ない駅で思いついた、無謀な計画
大学生のころ、同じ大学の友人と、田舎にある遊園地へ出かけたときのことです。
授業のない平日で、天気もよく、私たちは朝から遊園地へ行くのを楽しみにしていました。
最寄り駅からはバスが出ていると事前に調べていたので、移動については何も心配していませんでした。
ところが、駅に着いてバス停へ向かうと、誰も待っていません。
不思議に思って時刻表を見直すと、私たちが調べていたのは休日のダイヤだったのです。
慌ててバス会社に電話しましたが、平日は運行していないとのことでした。
「えっ、じゃあどうするの…」
途方に暮れていると、友人が駅の時刻表を見て言いました。
「次の電車、1時間半後だって」
ここまで来たのに、何もせず帰るのはもったいない。そう思った私は、あることを口にしました。
「遊園地まで10キロくらいでしょ、歩いちゃおうか」
友人は一瞬驚いた顔をしましたが、空を見上げて笑いました。
「まあ、天気もいいしね。ちょっとした遠足だね!」
こうして私たちは、遊園地を目指して歩き始めたのです。
山道で男性に告げられた衝撃の一言
歩き始めたころは、まだ余裕がありました。
道ばたに咲いている花を見つけては写真を撮り、友人と笑い合いながら進んでいました。
ところが、しばらくすると周囲はすっかり山の中に。道の両側には木々が続き、歩いている人も車も見当たりません。
「ねえ……さっきから同じ景色じゃない?」
友人の声にも、少し不安が混じっていました。
「山道ってそういうものじゃない?きっともうすぐだよ」
そう答えたものの、私自身もだんだん自信がなくなっていました。
足は重く、水筒の水も残りわずか。駅で次の電車を待っていればよかったと、何度も考えました。
そんなとき、後ろから白い車が近づいてきました。
車は私たちを追い越したあと、少し先で止まり、ゆっくりバックしてきました。
運転席の窓が開き、スーツを着た40代くらいの男性が顔を出します。
「こんなところで何してるの?どこまで行くの?」
「あ、遊園地です。もうすぐ着きますよね?」
男性は少し驚いたような顔をしてから、こう言いました。
「えっ、歩いて行くの?この先の遊園地まで、まだ半分はあるよ」
「……え?」
私たちは思わず顔を見合わせました。
あれだけ歩いたのに、まだ半分。そう聞いた途端、どっと疲れが押し寄せ、2人とも道の端にへたりこんでしまいました。
そんな私たちを見て、男性は少し笑いながら声をかけてくれました。
「ちょうど仕事であっちに行くところだから、後ろに乗りなさい」
ありがたい申し出でしたが、初めて会った人の車に乗ることには少しためらいもありました。
それでも、もう歩き続ける自信がなかった私たちは、男性にお礼を言い、車に乗せてもらうことにしました。
冷房の効いた後部座席に座ると、それまでの緊張が一気にほどけました。
遊園地の入口に着き、何度も頭を下げる私たちに、男性は軽く手を上げて走り去っていきました。
帰りの電車で、友人がぽつりと言いました。
「遊園地のどの乗り物より、あの車がいちばんありがたかったね」
「ほんと、それ!」
私たちは顔を見合わせ、また笑い出してしまいました。
楽しかった遊園地の思い出よりも、あの山道と、助けてくれた男性のことが強く印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














