「しみ抜きは7万よ。払って」コーヒー1滴で私に迫り、婚約者の給料まで笑う友人。だが、自慢の品で顔が真っ赤に
新居の居間の、80万のじゅうたん
友人は、婚約者が外国で買った80万円のじゅうたんだと言いました
テーブルの横に立つ友人が、床のじゅうたんを手のひらで示しました。
赤と紺の、角ばった模様です。
2月の日曜の昼。大学時代のゼミ仲間に招かれ、もう一人の友人と一緒に新居を訪ねたときのことです。
友人は銀行員の婚約者と、駅前のマンションで暮らし始めたばかりでした。
「彼が外国で買ってくれたの。」
1年がかりで織り上げた品だと、友人は続けます。
「職人が手で織って、80万。」
もう一人の友人は、ソファで目を丸くしています。
裏まで全部手で結んであると言い、友人は私の婚約者を笑いました
糸を一本ずつ、職人が結んで作ったじゅうたんなのだそうです。
「裏まで全部、手で結んであるの。」
それから友人は、テーブルの左に座る私を見下ろして笑いました。
「あなたの彼のお給料じゃ無理ね。」
私の婚約者は、町の家具店に勤めています。
じゅうたんなどを扱う売り場も担当しており、私も店を訪ねた際に商品の違いを教えてもらったことがありました。
しかし、友人は彼の仕事内容を詳しく知りません。
婚約してからというもの、会うたびに収入の話を持ち出しては、私たちを見下すようなことを言うのです。
コーヒーが一滴落ちると、友人はしみ抜きに7万円かかると言いました
言い返さずに、カップを口へ運んだときでした。
ふちから、コーヒーが一滴、ひざの先のじゅうたんに落ちたのです。
友人が悲鳴を上げて、しみの上に身をかがめました。
「しみ抜きは7万よ。払って。」
友人によると、高価な手織りのじゅうたんは、普通のクリーニングには出せないそうです。
「洗えるのは、専門の職人だけ。」
まだ見積もりも取っていないのに、友人は7万円かかると言い張ります。
ひとしずくに、7万円
裏までしみたら取れないと言われ、私はコーヒーのしずくを押さえました
私はカップを置いてしみの前に膝をつき、ハンカチでそっと押さえました。
突然の悲鳴と支払いの要求に、どう対応すればよいのか分かりませんでした。
コーヒーをこぼしたのは、確かに私です。しかし、しみ抜きに本当に7万円もかかるのでしょうか。
婚約者を笑われた直後だけに、反論すれば、単なるひがみだと思われそうでした。
「裏までしみたら、もう取れない!」
「今週中に、振り込んで。」
友人は、こちらの返事も待たずに支払いを迫ります。
しみを押さえながら、私はじゅうたんの表面を見つめました。
すると、ふと気になることがありました。
以前、婚約者の店で見せてもらった高級な手結びのじゅうたんとは、毛足や縁の仕上がりがどこか違うように思えたのです。
本当に職人が一本ずつ手で結んだ品なら、裏側にも特徴があるはずです。
手結びのじゅうたんとは異なり、裏側は白い布で覆われていました
裏側を確かめようと、私は手前の角を両手で持ち上げ、折り返しました。友人が、私の右に膝をつきます。
「ちょっと、めくらないで!」
「裏が、真っ白です。」
裏は一面、白い無地の布で覆われていました。
手結びのじゅうたんは、一般的に裏側からも結び目や表の模様を確認できます。しかし、このじゅうたんは裏地が貼られていて、結び目が見えません。
婚約者の店で見せてもらった、比較的手頃な価格のじゅうたんによく似た作りでした。
裏地だけで正確な価格や製法までは分かりません。それでも、友人が自慢していた「裏まで全部手で結んである」という説明とは食い違っています。
婚約者の店では似た作りの商品が1万円台だと伝えると、友人は顔を真っ赤にしました
友人が、じゅうたんの縁を両手で床に押さえつけました。
「裏の布は、職人の仕上げなの!」
確かに、裏地のあるじゅうたんがすべて安物というわけではありません。ただ、友人の説明する手結びのじゅうたんとは、明らかに作りが違います。
私は、婚約者の店で見た商品を思い出しながら答えました。
「彼の店では、この作りで1万円台。」
もちろん、目の前の品が同じ価格だと断定できるわけではありません。それでも、似た作りの品が一般の家具店でも売られていることを伝えると、友人の表情が変わりました。
さらに、折り返したじゅうたんの端には、素材や取り扱い方法が記された小さなタグが付いていました。
私がそのタグに目を向けると、友人は慌ててじゅうたんの端を押さえます。
しばらく沈黙したあと、友人はうつむいたまま、小さな声で打ち明けました。
「駅前のホームセンターで、自分で買ったの」
外国で購入した80万円の手織り品という話は、見栄を張るための嘘だったのです。
ソファに座っていたもう一人の友人が、カップをソーサーに戻しました。
「そのしみなら、台所の洗剤で落ちるよ」
もっとも、実際に洗剤を使うには、じゅうたんの素材や取り扱い表示を確認する必要があります。
私は、購入時の情報を確認したうえで、適切な手入れの方法を調べようと思いました。
友人はじゅうたんの縁を押さえつけたまま、顔を上げられません。
頬から耳の先まで、真っ赤に染まっていました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














