「5年、うちが乗せてあげたのよ」雨の日に娘を置き去りにし、送迎の恩を横取りするママ友。帰り際に黙り込んだ
保護者会のあとの送迎スペース
娘の幼なじみの母親は、5年間送迎してあげたと、新しく越してきた保護者に話しました
「5年、うちが乗せてあげたのよ。」
学年の保護者会が終わり、ほかの家の車が出ていったあと、小学校の保護者用駐車場で、娘の幼なじみの母親が声を張っていました。
聞いているのは、この春に越してきた保護者でした。
娘たちは現在、小学6年生です。1年生のころから親しくしており、雨の日には私が車で2人を送り迎えすることが何度もありました。
ところが、きのうの土砂降りの日、私はパートを抜けられず、初めて幼なじみの母親に迎えを頼んだのです。
相手は2人とも迎えると引き受けてくれました。しかし、実際に車に乗せたのは自分の娘だけ。私の娘は約40分の道を一人で歩き、髪からしずくを垂らして帰ってきました。
その帰り道、雨に濡れた娘に声をかけてくれたのが、新しく越してきた保護者の子どもでした。事情を聞いたその子が、母親に伝えていたのです。
昨日の出来事を心配してくれた保護者に対し、幼なじみの母親は『子どもの話なんて、あてにならないわ』と言い返しました。
この車は自分しか運転しないと、娘の幼なじみの母親は言いました
幼なじみの母親は、うしろにとめた車のドアに手を当てました。
「この車は、私しか運転しないの。」
「主人は電車だから。」
そして、1年生のときから雨の日はずっと、この車で2人を乗せてきたと言うのです。
しかし、実際に送迎をしていたのは私でした。相手は今年の春に免許を取ったばかりで、それまでは自分で車を運転していなかったのです。
きのう娘を置いて帰ったにもかかわらず、幼なじみの母親は私を恩知らずと呼びました
幼なじみの母親が、私に向き直りました。
「きのう一回くらい、何よ。」
「恩知らずは、そっちよ。」
新しく越してきた保護者が『そうなの?』と、私を見ました。
その保護者は越してきたばかりで、5年前のことは知りません。しかも、学年のことをいろいろ教えてきたのは、幼なじみの母親でした。
私が何を言っても、言い争いになってしまいそうです。
ただ、雨の日の送迎を頼まれたメッセージは、私のスマートフォンに残っていました。幼なじみの母親から届いたお礼の連絡もあります。
私はすぐに言い返す代わりに、まず相手の話を確かめることにしました。
気づけば、指先がシャツのすそをつかんでいました。
「恩知らずは、そっちよ」
車へ向かう幼なじみの母親に、私は5年間ずっとこの車で送迎していたのかと確かめました
幼なじみの母親は、車のほうへ向きかけました。
「話は、これで終わり。」
「5年、ずっとこの車で?」
幼なじみの母親は『そうよ。何度言わせるの』と言い返しました。
私は、車のうしろへ回りました。
車の後部には、免許取得から1年未満の運転者が表示する初心者マークが貼られていました
私は車の後部に立ち、手のひらを上にして示しました。
「こちらに来てください。」
新しく越してきた保護者が、私の肩越しに車の後部をのぞき込みました。幼なじみの母親も、あとを追ってきました。
そこには、黄色と緑の初心者マークが貼ってありました。普通自動車の免許を取得してから1年未満の運転者が、表示しなければならないマークです。
幼なじみの母親が免許を取ったのは、この春。以前、本人から教えてもらっていたので、私は知っていました。
5年間、雨の日に2人を乗せてきたのは、私の車です。
目の前の車には、色あせのない初心者マークが貼ってありました。
初心者マークを背中で隠した幼なじみの母親は、過去の送迎記録を示されてうつむきました
幼なじみの母親がマークの前に割り込み、背中で隠しました。
「ずっと、外してないだけよ!」
「5年たてば、色は抜けます。」
もちろん、マークが新しいというだけで、いつ免許を取ったのかを証明できるわけではありません。
そこで私はスマートフォンを取り出し、以前の送迎について交わしたメッセージを見せました。
何年も前から、雨の日になると幼なじみの母親から迎えを頼まれ、そのたびに私が2人を乗せて帰っていた記録です。
さらに、今年の春に免許を取ったと本人から知らせてきたメッセージも残っていました。
新しく越してきた保護者は、画面に表示された日付を確かめ、幼なじみの母親を見ました。
幼なじみの母親はしばらく黙ったあと、『春に、取ったの。乗せてもらってたのは……うちのほう』とこぼしました。
そして、車のドアに背中を押しつけたまま、足もとの砂利から目を上げませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














