結婚して13年目。
子どもはいない。共働き。互いに趣味も価値観も、そこまで似ているわけじゃない。
でも、私たちは離婚する気も、仲が悪いわけでもない。
ただ──“パートナーがそれぞれもう1人いる”。
出会い直しじゃなく、すれ違いの先の「納得」
私が先に“彼氏”を作った。
正直、結婚生活がつらかったわけじゃない。ただ、どこか物足りなかった。
感情を表に出さない夫と、気持ちを共有したくなる私。
一緒にいても、孤独を感じる時間が増えていた。
そんなとき、趣味のカフェ巡りで出会った人と、自然と距離が縮まっていった。
最初は罪悪感もあった。でも、不思議と家庭を壊したいとは思わなかった。
「実は俺もさ、ちょっと話したいことがある」
ある日、思い切って夫に言った。「今、ちょっと親しくしてる人がいるの」
怒られると思っていた。でも彼はしばらく黙ったあと、静かに言った。
「……実は俺も。2年くらい前から、仕事関係で知り合った人と会ってる」
そのとき、思った。
この人とはやっぱり、どこか似てるんだ──不器用で、でも嘘はつかない。
「外に誰かいるからこそ、家では優しくなれる」
奇妙かもしれない。でも、お互いが“外”で心を満たしているから、
家では必要以上にぶつからないし、干渉しすぎることもない。
決めごとはただ1つ。
「家のことと生活には責任を持つこと」
家賃も光熱費も折半。食事は週に3回一緒にとる。
それ以外は、無理に相手のスケジュールを詮索しない。
「本音を話せる人が2人いる」幸福
世間的には“グレー”かもしれない。
でも私は今、本音を出せる彼氏と、心の安心をくれる夫、
どちらも大切に思っている。
夫も同じだと思う。
「正解」なんてどこにもない。ただ、“自分たちにとって居心地のいい形”を
作ることができた。それだけで十分だった。
こんな夫婦もいるんです
・恋愛=結婚じゃなくてもいい
・正直でいられることが何よりの信頼
・“普通じゃない”関係にも、幸せはある
「割り切ってるの?」と聞かれるけど、ちょっと違う。
“誰かを諦める”んじゃなくて、“全部を許し合えた”っていう感覚かもしれない。