
トランプ政権、「農地は国家の盾」対中包囲網を農業にも拡大
アメリカのトランプ政権は8日、国家安全保障の観点から外国勢力による米国内農地の取得を防止する方針を正式に発表した。
これにより、中国を含む“敵対国”による農地買収の動きに歯止めをかけるとともに、軍事施設周辺での土地取得への監視を強化する。
農業を狙う中国に「ノー」 安全保障の新たな焦点に
「農業安全保障行動計画」と題されたこの政策には、中国・ロシア・イラン・北朝鮮などを対象とした法規制の導入が盛り込まれた。
具体的には、敵対国による農地の購入を禁止する立法、軍事拠点近隣の所有者調査の義務化、既に売却された土地の“回収措置”などが検討されている。
「農業研究の盗用やシステム侵害も発生」政府が警鐘
記者会見に登壇したロリンズ農務長官は、「外国勢力が農地を入り口に米国内の研究成果を盗み、農業システムにセキュリティリスクを生じさせている」と述べ、国家として放置できないレベルの脅威であると指摘した。
また、ヘグセス国防長官も、米軍基地に隣接する農地が中国企業によって取得されている事例を紹介し、「ただの土地取引では済まされない、戦略的意図を伴った買収だ」と強調した。
“買われた農地”を地図で公開 ホワイトハウスでも緊急報告
行動計画の一環として、既に外国資本に渡った農地の位置情報が示された地図も公開された。
特に米軍関連施設の周辺地域において、中国人名義の農地所有が相次いで確認されており、ロリンズ氏は「放置すれば国家の中枢が蝕まれる危険がある」と警鐘を鳴らした。
ホワイトハウスで開かれた閣議でもこの問題は緊急報告事項として取り上げられ、トランプ政権として速やかに議会との連携を強め、立法化を進める構えだ。
今後は“没収”も視野 すでに売却された農地にもメス
注目すべきは、既に外国勢力に売却された農地に対しても“回収”措置を導入する意向が示された点だ。これまで「民間の取引」として黙認されていたケースも、国家安全保障上の理由で対象となりうる。
まとめ:農業はただの産業ではない
かつてないスピードで進む「安全保障と農業」の結びつき。今回の計画は、トランプ政権の中でも特に注目される対中強硬策の一環であり、今後の政策や外交にも大きな影響を及ぼすとみられる。
「農業は食料だけではなく、国家の命綱」――そうした認識が、今アメリカ全土に広がろうとしている。