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2025.10.29(Wed)

「あなたには無理だ、経理なんて」と嫌味を言う上司。半年後、彼の不正を暴いたのは私だった【短編小説】

「あなたには無理だ、経理なんて」と嫌味を言う上司。半年後、彼の不正を暴いたのは私だった【短編小説】

経理は無理と嫌味を言う上司

「あなたには無理だ、経理なんて」

半年前、営業部から経理部へ異動してきた私、望月 美咲(もちづき みさき)に投げかけられた言葉です。

発言の主は、上司の遠藤誠(えんどう まこと)課長。 彼は初日から、私を値踏みするような目で見ていました。

「営業とは違うんだ。細かい数字を扱うんだぞ。君にできるのかね?」

私は「はい、一生懸命頑張ります」と返すのが精一杯でした。
悔しさで唇を噛み締めながら、絶対に彼を見返してやると心に誓いました。

その日から、私は誰よりも熱心に数字と向き合いました。
営業時代に培った「小さな違和感」を見逃さない観察眼だけが、私の武器でした。

気づいた伝票の違和感

異動から三ヶ月ほど過ぎた頃、私はある支払伝票に引っかかりました。
「このコンサル料、先月も同じような日付で処理されてない…?」

それは、遠藤課長が「特別案件」として決裁している経費でした。
最初は気のせいかと思いましたが、過去のデータを洗うと、似たような不審な支出が毎月見つかります。
日付が休日だったり、実在するかわからない取引先名だったり……。

心臓がドキドキしました。これは、もしかして……。

私は怖くなりました。
でも、あの日の「あなたには無理」という言葉が、私の背中を押しました。
私は証拠を慎重にまとめ、経理部長である高橋(たかはし)部長に直接報告することを決意しました。

「…以上です。これは、遠藤課長による経費の不正利用ではないでしょうか」

高橋部長は厳しい顔で資料を受け取り、「わかった。君が調べたことは他言無用だ。あとは私が引き受ける」と静かに言ってくれました。

数日後、遠藤課長はコンプライアンス室に呼び出され、そのまま戻ってくることはありませんでした。

社内調査の結果、彼は長年にわたり架空の取引先に支払いを偽装し、多額の私腹を肥やしていたことが発覚したのです。

あの日から、ちょうど半年。

先日、高橋部長から「君の『細かさ』があの不正を見抜いた。望月さん、君は立派な経理部員だ」と声をかけられました。

「あなたには無理」と言われた私が、会社の大きな損失を防いだのです。
誰かに「無理」と言われても、自分を信じて諦めなくて本当に良かったと思っています。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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