予算表が示す「仕事の価値」
私は小さなデザイン事務所を経営しています。
主にウェブサイトやロゴのデザインを請け負っています。
そんなある日、学生時代から親しかった友人から連絡がありました。
彼女がカフェをオープンすることになり、そのウェブサイトとロゴデザインを私に頼みたいというのです。
「あなたに頼めば安心だわ!デザインは全部お任せね。もちろん、これ、知り合い価格でお願いね?」
彼女は悪気もなく言いました。
私は旧友の夢を応援したい気持ちもあり、快諾しました。
数日後、友人からメールで「予算表」と題されたファイルが届きました。
見積もり作成の参考にしようとそのファイルを開いた瞬間、私は思わず息を飲みました。
そこに書かれていたのは、「ウェブサイト制作費:2万円」「ロゴデザイン:5千円」という、信じられない予算金額だったのです。
ウェブサイト制作は通常数十万円、ロゴデザインだけでも数万円が相場です。
私が提示しようと考えていた「知り合い価格」でも、合計で15万円ほどでした。
しかし、彼女が提示してきた金額は、あまりにも非常識な数字でした。
その予算表は、私のプロとしての仕事を、まるで「おまけ」か「趣味」程度にしか考えていないことが、痛いほど伝わってきたのです。
プロとしての責任と決断
私はすぐに友人に電話をかけました。
「ごめん。この予算だと、うちの事務所では請け負えないよ。」
すると友人は、驚いた様子もなく言いました。
「えー、なんでよ?パソコン一つでできる仕事でしょう?材料費なんてかからないじゃん。それに、知り合い価格ってそういうことじゃないの?」
彼女は私の仕事に対する価値を全く理解しておらず、「友人」という関係性を悪用していると感じました。
「ごめんね。友人だからこそ、私の仕事の価値を下げて、タダ同然で受けることはできないよ」
そう伝えると、友人は不満そうに電話を切りました。
この一件で、私は自分の仕事の価値を自分で守ることが、プロとしての責任だと改めて学びました。
残念ながら、彼女との友情は以前のようには戻らないだろうと感じています。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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