残業は熱意の証?
広告制作会社でデザイナーをしている28歳です。
私たちの部署は、上司のせいで、慢性的な長時間労働が常態化していました。
上司は「残業こそ熱意の証」と信じ、定時で帰ることは許されません。
その日も20時を回っていました。
みんなが疲弊している中、上司がいつものように大声で宣言しました。
「おいみんな、今日も終電まで残業ね。気合入れろよ!」
誰もが力なく返事をする中、今年入社したばかりの新人がスッと立ち上がりました。
「お疲れ様です。部長、終電まで残業する緊急性や合理的な理由を説明してください」
上司の顔がみるみる赤くなります。
「新人の分際でなんだ、その言い方は! みんな残ってるんだぞ!」
「協調性は重要ですが、労働契約も重要です」と新人は動じません。
誰にも破れない会社の「ルール」
カバンから、会社から配られたばかりの「就業規則」の冊子を取り出しました。
「弊社の就業規則の第十一条には、このように書かれています。『社員は、労働契約で定められた時間を超えて業務に従事することを、原則として拒否できる』私は、終電まで残業する緊急性や合理的な理由を説明されておりません。そのため、退社させていただきます」
「き...君ね、社会人としての常識が...」と部長がしどろもどろになると、新人は「申し訳ございませんが、私は規則に従わせていただきます」と退社したのです。
この一件以来、部署の雰囲気は大きく変わりました。
上司は以前のように無茶な残業を命じなくなり、残業が必要な場合でも必ず事前に理由を説明し、残業申請を承認するようになったのです。
私も新人から、終業規則の重要性、そして「言うべきことは言う」勇気を学びました。
終電に乗る回数は激減し、おかげで最近は心も体もずいぶん軽くなりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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