本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
繁忙期の朝に届いた「欠勤LINE」
私はあるIT企業でチームリーダーとして働いています。
部下の中で一人だけ、入社2年目の男性社員に手を焼いていました。
彼は連休明けや繁忙期になると、決まって体調を崩すのです。
ある繁忙期の月曜日のこと。
大事な日の朝、彼から通知が届きました。
『すみません、朝から寒気が止まらず、熱を測ったら高熱でした。今日は休ませてください』
メッセージと共に、一枚の写真が添付されていました。
デジタル体温計には「38.5度」という数字が表示されています。
「またか……」
と思いながらも、さすがにこの高熱は心配になります。
違和感だらけの低画質画像
しかし、画像をタップして拡大した瞬間、私は首をかしげました。
「ん? なんでこんなに画質が悪いの?」
今のスマホカメラは非常に高性能です。
それなのに、送られてきた写真は全体的にぼやけていて、粗い画質でした。
まるで、何かをスクリーンショットして、無理やり引き伸ばしたかのような不自然さです。
胸のざわつきを抑えきれず、画像検索機能を使ってネットで調べてみることにしました。
結果は、ものの数秒で出ました。
検索結果のトップに現れたのは、とある個人の健康ブログ記事。
タイトルは『インフルエンザで死にかけた話』。
そこに使われている写真と、彼が送ってきた写真すべてが完全に一致していました。
しかもそのブログ記事の日付は、なんと5年も前のものです。
検索結果が示した「まさかの正体」
「なるほど、ネットで拾った画像を使い回したってわけね」
私は呆れを通り越して、少し笑ってしまいました。
詰めが甘いというか、大胆すぎるというか。
私は深呼吸をして、彼に返信を打ちました。
『熱があるのは大変ですね。お大事に。ところで、送ってくれた写真ですが、5年前の他人のブログ記事に出てくる写真と全く同じなのはなぜでしょうか? 画質が悪かったので気になって調べてみたら、同じ画像が出てきましたよ(笑)』
送信して数分後、既読がつきました。
しかし、返信はありません。
あとで聞いた話では、彼はその日、本当に具合が悪くなったそうです。
もちろん、嘘がバレた冷や汗のせいで。
翌日、彼は誰よりも早く出社してきました。
顔を真っ赤にして平謝りする彼に、私は笑顔でこう言いました。
「体調管理も仕事のうちだけど、画像の著作権管理もしっかりね?」
それ以来、彼が「謎の高熱」で休むことは一切なくなりました。
嘘をつくなら、せめて自分で撮った写真を使わないと、すぐにバレてしまう世の中なのです。
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