出典:自民党公式
YOASOBI超えのスピード記録に現役議員からも疑問噴出、SNS時代の選挙戦略が投げかける波紋
選挙という「国民の審判」を仰ぐ場で、数字の持つ力はあまりに絶大です。しかし、その数字があまりに不自然な輝きを放ったとき、有権者はそこに希望ではなく、冷めた視線を送ることになります。自民党の公式YouTubeチャンネルが2026年1月26日に公開した30秒の動画が、わずか10日ほどで再生回数1億回を突破するという、日本の政治史に残る(?)快挙を成し遂げました。
高市早苗首相が力強く未来を語るその映像は、いまや世界的な人気を誇るYOASOBIのヒット曲「アイドル」が1億回再生に要した35日間という記録を大幅に塗り替えるスピードです。登録者数約20万人のチャンネルで、なぜ1億3000万回もの再生が可能なのか。この驚異的な数字に対し、ネット上では感嘆の声よりも、
『広告費どんだけかかってるん』
『すごいことが起きた』
といった、冷ややかな驚きが広がっています。
専門家からは、他の動画との桁違いな数字の差を指摘し、単純明快に「広告によるブースト」であるとの見解が出ています。資本力にモノを言わせたドブ板ならぬ「デジタルドブ板」戦略。これには他党の議員も黙っていられなかったようです。参政党の神谷宗幣代表は『これはやり過ぎ』と短くも重い言葉を漏らし、国民民主党の足立康史参院議員も『明らかにお金の力で回しています』と断言。選挙資金の制限に関する議論の必要性を訴える事態に発展しました。
確かに、政治家が自らのビジョンを広く拡散すること自体は正当な活動です。しかし、それが「対話」ではなく「物量による制圧」に見えてしまうのは、民主主義のコストパフォーマンスとしていかがなものでしょうか。1億回という数字は、日本の全人口が一度は視聴した計算になりますが、その内容を言える人に出会う確率は、それこそ1億分の1に近いかもしれません。
SNSは政治をより身近にするツールのはずが、今や資金力の差を見せつける新たな格差の象徴となりつつあります。今回の騒動は、単なる動画のヒットという枠を超え、デジタル時代の選挙における「公正なルール」とは何かを、私たちに突きつけています。
どんなに素晴らしいメッセージも、機械的に繰り返される広告として現れれば、人々の心には届かずに耳元を通り過ぎるノイズになりかねません。1億回という数字の重みが、自民党への信頼の重みと合致しているのか。
今後、選挙におけるSNS広告のあり方については、より透明性の高い議論が求められそうです。














