「夜中の2時まで叩いても、うちは防音だから平気」上の階の男性が、下の寝室で響く振動を聞いた瞬間
エレベーターで笑った上の階の男性
各階に1世帯ずつ入る集合住宅で、50代の私は暮らしています。寝室の真上は、上の階の家が楽器の練習に使う部屋です。毎晩9時ごろから電子ドラムが始まり、遅い日は夜中の2時まで続きました。
建物の外には、音がまったく漏れていません。それなのに、ベッドに入ると天井から、どん、どん、と同じ振動が落ちてきて、静かになったあとも頭から離れませんでした。
管理会社を通じて夜中の練習をやめてほしいと頼むと、返ってきたのは、防音の工事をしたから聞こえるはずがない、という答えでした。
上の階の男性は、工事にお金をかけた以上、音の問題は何もないと思いこんでいたのです。
ある晩、帰りのエレベーターで、40代くらいのその男性と乗り合わせました。
私が会釈すると、男性のほうから口を開きました。
「ああ、下の方ですよね。管理会社から聞きましたよ」
「夜中だけでも、練習を控えていただけませんか」
男性は、鼻で笑いました。
「夜中の2時まで叩いても、うちは防音だから平気」
「天井には、ずっと響いているんです」
「神経質なだけでしょう」
男性は先に降りていき、私は閉まっていく扉の内側で、何も言えずに立っていました。その夜も、天井の振動は2時まで止まりませんでした。
下の寝室で、天井を見上げた夜
次の日、私は管理会社の担当者に、エレベーターでのやり取りをそのまま伝えました。
40代くらいの男性の担当者は建物まで来て、上の階の男性と話をしてくれました。
工事の話ばかりする男性に、担当者はこう持ちかけたそうです。
「では、今夜11時に、下のお部屋で、一緒に聞いてみませんか」
夜11時、私の寝室に、担当者と上の階の男性が入ってきました。
上の階では、男性の息子がいつものように練習を始めていました。3人で立ったまま、天井を見上げました。
どん、どん、と振動が落ちてきます。
ベッドの横の棚で、置き時計と写真立てが小さくゆれました。
男性は天井を見上げたまま、口を開けて止まりました。
担当者が、落ち着いた声で言いました。
「外には漏れていなくても、床から下へは、そのまま伝わっております。これが、毎晩2時まで続いております」
エレベーターで笑っていた男性の顔が、耳まで赤くなりました。何か言いかけて、そのまま口を閉じました。
「…こんなに、響いていたんですか」
その週のうちに、電子ドラムの下には振動を止める厚い台が敷かれ、練習は夜9時までになりました。エレベーターで会っても、男性はもう防音の話をしません。棚の写真立ては、夜中に一度もゆれなくなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














