「1個くらい戻しても分かんないって」バイキングで料理を大皿へ戻す2人組。だが、料理長が取った対応とは
笑いながら料理を戻す2人組
旅行先のホテルで朝食バイキングを利用したときのことです。
私は料理を取り終え、温かい料理が並ぶ台の近くの席に座りました。自分の皿には、から揚げも乗せていました。
台の上には、から揚げとエビフライの大皿が並んでいました。
その前には子ども連れの母親やほかの客が何人かいて、少し離れた厨房の入口には、50代くらいの料理長らしき人が立っていました。
そこへ、20代くらいの男性2人組がやってきました。2人とも、すでに料理を山盛りにした皿を手にしています。
すると1人が、自分の皿に乗っていたから揚げをトングでつまみ、そのまま大皿へ戻しました。
「おい、それ戻すのはまずいだろ」
連れの男性が言うと、本人は笑って答えました。
「1個くらい戻しても分かんないって」
ところが、最初は止めていた連れの男性も、そのやり取りのあと、自分の皿からエビフライを2尾つまみました。
「ほら、わかんないだろ?」
「だな」
2人は笑いながら、エビフライを大皿へ戻しました。
すぐ後ろにいた母親は、料理へ伸ばしかけたトングをそっと引っこめました。
子どもの手を引いて少し離れると、2人組の1人が振り返ります。
「取らないの?うまいのに」
私は思わず、自分の皿のから揚げを見下ろしました。
これも、あの2人の皿から戻されたものかもしれない。そう考えると、箸を持つ手が止まりました。
何か言ったほうがいいと思いましたが、2人に直接声をかける勇気はありませんでした。
料理長が大皿を持ち上げた
そのとき、厨房の入口にいた料理長が、まっすぐ料理台へ歩いてきました。
料理長は2人組の前まで来ると、から揚げとエビフライの大皿をそれぞれ持ち上げました。
「こちらのから揚げとエビフライは、お客様のお皿から戻されたものが混ざっていますので、すべて下げます。新しいものをすぐにお持ちします」
近くにいた客の視線が、2人組へ集まりました。
2人はトングを持ったまま動きを止めます。
料理長は続けて、2人に静かに伝えました。
「一度お皿に取られたお料理は、戻さないようお願いいたします。ほかのお客様も召し上がるものですので」
2人は顔を赤くし、何も言い返しませんでした。そのまま山盛りの皿を持って、黙って自分たちの席へ戻っていきました。
すると、通路の向こうの席から小さな声が聞こえました。
「…同じじゃなかったね」
料理長は大皿を厨房へ運び、戻ってくる途中で私の席の前に足を止めました。私の皿に残っていたから揚げを見て、声をかけてくれました。
「先ほどお取りになったお料理も、よろしければお取り替えしましょうか」
「お願いします」
私が答えると、料理長はうなずきました。
しばらくして、湯気の立つ新しいから揚げとエビフライが料理台に並びました。先ほど離れていた母親も戻ってきて、子どもの皿にエビフライを乗せます。
それを見て、ようやく私も安心して朝食を取り直すことができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














