「サボった30分、残業で返せ!」渋滞で遅れた私を怒鳴り、自分は休む暇もなかったと言い張る課長の真相
通用口の前で待っていた課長
外回りから戻った私を、課長が駐車場で待っていました
私は事務用品の会社で、営業車で取引先を回る営業をしています。
秋の夕方、外回りから戻り、会社の裏のコンクリートと金網だけの殺風景な駐車場に車を停めました。通用口の前で腕を組む課長の姿に、胃がきゅっと縮みました。予定より30分遅い帰りでした。
「どこに車を停めてサボってた!」
「サボった30分、残業で返せ!」
課長は、部下の帰りが少しでも遅れると、駐車場まで出てきて怒鳴る人です。
言い訳するなと、課長は私の話をさえぎりました
帰りの道が工事で混んでいて、と言いかけると、課長はすぐに私の話をさえぎりました。
課長は、部下の話を最後まで聞いたためしがありません。
「言い訳するな!」
課長は昼過ぎにこの駐車場を出て、午後はずっと駅前の取引先だったそうです。
「取引先の地下駐車場に3時間だ!」
課長は、外には一度も停めていないと言い切りました
課長は胸を張って続けました。
「外には一度も停めてない!」
「休む暇もなかった!」
お前とは違うんだよ、と課長は鼻で笑いました。その声は建物の壁に跳ね返り、駐車場じゅうに響きました。ちょうど奥の列に、外回りから戻った後輩の車が入ってくるところでした。
朝礼で謝れという命令
明日の朝礼で謝れと言われ、私は頭を下げました
渋滞だったと言っても、それを示せる物は何もありません。前に同じように言い返したその後輩は、次の朝礼で名指しされていました。
「明日の朝礼で謝れ!」
私は唇をかみ、頭を下げるしかありませんでした。
「申し訳、ありません。」
課長の車のワイパーに葉が挟まり、助手席が倒れていました
そのとき、下げた頭の先を、イチョウの葉が一枚、ひらりと横切りました。
この駐車場とそのまわりには、木が一本もありません。
葉の来たほうを振り向くと、向かいの列に課長の紺の営業車がありました。
ワイパーの付け根に、イチョウの葉がぎっしり挟まっています。
よく見ると、走行中の風が当たりにくい根元のくぼみに、何枚もの葉が重なっていました。これなら、車を走らせても葉が残っていたとして不思議ではありません。
さらに、フロントガラスの向こうの助手席は、後ろへ大きく倒れたままでした。
まるで、誰かがそこで横になっていたかのようです。
もちろん、葉や座席だけで何かが証明できるわけではありません。それでも、休む暇もなく地下駐車場にいたという課長の話に、私は違和感を覚えました。
私が車の前まで歩いてワイパーを指さすと、追ってきた課長は早口で言いました。
「取引先の前のイチョウだ!」
「外には一度も停めてないのに?」
取引先の前を通った際に、葉が入り込んだ可能性もあります。ただ、これほどまとまって残っているのは気になります。
私が助手席にも目を向けると、課長は落ち着かない様子で視線をそらしました。
戻ってきた後輩の前で、課長の手が葉の上で止まりました
課長はあわてて車の前へ回り込み、ワイパーの葉を手で払いはじめました。
「ちょっと休んだだけだ!」
その言葉を聞いて、私は思わず顔を上げました。
葉がどこで付いたのかは分かりません。しかし、休む暇もなかったと言い切った課長が、自分から休憩していたことを認めたのです。
「休む暇も、なかったのでは?」
課長の手が、葉の上で止まりました。
車を降りてきた後輩が、それを見て、口元を押さえて肩を震わせています。
課長は口を引き結び、私と目を合わせようとしませんでした。
駐車場じゅうに響いた『休む暇もなかった!』という発言と、その直後に自ら休憩を認めたことは、後輩を通じてその日のうちに営業部に知れわたりました。
サボったら残業、言い返したら朝礼で名指し。
そんな課長が自分の休憩を認めたことで、周囲の同僚たちも、理不尽な叱責に対して事情を説明するようになりました。
私への残業と謝罪の話も、二度と出ませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














