「たいした額じゃないんだけどね」友人への500円の催促を練習していた私。だが、財布の奥から出てきた自分のメモに唖然
返してもらえない500円
長い付き合いの友人に、500円を貸したことがあります。
一緒に出かけた帰り、友人が財布をのぞいて困った顔をしたのがきっかけでした。
「あれ、小銭が足りない。500円持ってる?あとで返すから」
「うん、あるよ。はい」
そのときは、次に会ったときにでも返してくれるだろうと、特に気にしていませんでした。
ところが、その後何度会っても、友人は500円の話をしません。
いつもどおり楽しく話して、そのまま別れるだけでした。
最初は気にしないようにしていた私も、だんだん引っかかるようになりました。
「もしかして、忘れてるのかな…」
たった500円。
それでも、貸したままになっているのは事実です。かといって、わざわざ催促して、けちだと思われるのも嫌でした。
そんなある日、翌朝に友人とカフェで会う約束をしていた私は、居間のテーブルで財布の中のレシートを整理していました。
頭にあったのは、やはり500円のことです。
「ねえ、前に貸した500円って、覚えてる?」
試しに声に出してみると、なんだか責めているように聞こえました。
「たいした額じゃないんだけどね、あの小銭のこと…」
今度は少し遠回しすぎる気もします。
どう言えば嫌な感じにならないだろう。そんなことを考えながら、私は財布のポケットを一つずつ確認していました。
財布の奥から出てきた、忘れていたメモ
そのとき、財布の奥から小さく折りたたまれた紙が出てきました。
「あれ、何だっけ、これ…」
広げてみると、そこには見慣れた自分の字で、短い言葉が書かれていました。
「1000円借りた」
一瞬、何のことか分かりませんでした。けれど、すぐに思い出したのです。
少し前、友人と出かけたとき、私は財布を家に忘れてしまい、1000円を立て替えてもらっていました。
あとで返すのを忘れないようにと、家に帰ってからメモを書き、財布にしまっていたのです。
それなのに、返すことも、メモを書いたことさえも、すっかり忘れていました。
「うそ……私も返してないじゃん!」
思わず声が出ました。
友人に貸した500円ばかり気にしていたのに、自分はその友人から1000円も借りたままだったのです。
しかも、こちらのほうが金額は大きいのです。
さっきまで一生懸命に催促の言い方を練習していた自分がおかしくなり、思わず笑ってしまいました。
翌朝、カフェで友人と向かい合って座ると、私は財布から千円札を一枚取り出しました。
「これ、あのときの1000円。返すの遅くなってごめんね」
友人はきょとんとして、お札と私の顔を見比べました。
「えっ、ああ! 財布忘れたときの?やだ、私もすっかり忘れてた!」
「私なんて、昨日メモを見つけるまで忘れてたの。ほんとごめん!」
二人で笑いながら、友人はお札を受け取ってくれました。
結局、500円のことは口にしませんでした。
昨日まであんなに催促の言葉を考えていたのに、まさか自分がお金を返す側だったとは。
財布の中身は1000円減りましたが、気持ちは昨日よりずっと軽くなっていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














