
こんな面接官は嫌だ
「じゃあまず、趣味はなんですか?」
面接冒頭から、その質問?
と思いつつも、笑顔で答える。
「読書と散歩が好きです」
すると面接官、腕を組み、うんうんと頷いたあと――
「読書。ふーん。で、年に何冊読むの?」
「……10冊くらいです」
「それ、趣味って言える?」
急に冷めた声。
なんか空気変わった。
「じゃあ、散歩は? 毎日してる?」
「……週に2回くらい」
「週2で“散歩が趣味”は盛ってるよね?」
えっ、今って嘘発見器面接?
趣味チェックでここまで詰められるとは…。
「じゃあ次。うち、残業あるけど平気?」
「はい、覚悟しています」
「覚悟って何? 精神論じゃなくて、具体的に何時間までいける?」
「……月40時間までなら」
「その程度で“覚悟してる”って言うの?」
いや、じゃあ逆に何時間なら満足なんですか?
「ちなみに僕は、月100時間残業してます」
……自慢するな。
完全に残業マウント。
そして、最後の質問。
「逆質問ありますか?」
「はい。御社で働く中で、大切にされている価値観を教えてください」
自分でも、悪くない逆質問だと思った。
しかし、面接官はこう言い放った。
「“逆質問しなきゃいけない病”だね、それ」
は?
「無理に質問しようとしなくていいのに、苦し紛れに“価値観”とか言っちゃうタイプでしょ?」
いやいやいや。
面接後、力なくエレベーターに乗ったとき、別の受験者がポツリ。
「ねえ、あの人さ、圧迫面接っていうより“マウント中毒”だよね」
うなずく私。
こんな面接官は、ほんとに嫌だ。