育児に参加しているつもりの夫
私は、生後四ヶ月になる娘の育児に追われ、毎日ヘトヘトになっていました。
夫は育児に「参加している」つもりですが、その意識のズレが、私の小さなイライラを積み重ねていたのです。
夫は時折、娘のオムツを替えることはあります。
しかしそれは、一日十数枚替えるうちの、たった一枚か二枚です。
それなのに、まるで大仕事をやり遂げたかのように振る舞うのです。
ある日の夕方、私が夕食の支度をしながら娘の泣き声に対応していました。
娘のオムツが汚れたので、夫に「ごめん、オムツお願い」と声をかけました。
夫は少し不満そうな顔をしながらも、渋々オムツ替えをしてくれました。
しばらくして、リビングに戻ってきた夫は、まるでメダルでももらったかのようなドヤ顔で私に言いました。
「オムツ替えたの俺だよ?結構大物だったよ。これで俺も今日の育児ノルマ達成だ」
その「ノルマ」という言葉と、たった一枚替えただけでイクメン気取りになる態度に、心底うんざりしてしまいました。
手伝いではなく自慢
私は調理の手を止め、夫に静かに尋ねました。
「今日、娘が泣いた回数は?夜中の授乳は?汚れた服の洗濯と、家計簿の記入は、誰がしたでしょうか」
夫は顔を引きつらせました。
「いや、でも、オムツ替えは大変だろ。それをやったんだから…」
「オムツ替えは、育児の中のほんの一部です。あなたが『オムツを替えた』とドヤ顔をしている間に、私は娘の一日の生活すべてを管理しています。一枚替えただけで、育児を分担した気にならないでほしいわ」
私の真剣な眼差しに、夫は初めて自分がやっていたことが「手伝い」ではなく、「自慢の種」になっていたことに気づいたようでした。
彼はバツが悪そうに「ごめん…」と小さく謝罪しました。
その後、私たちはしっかりと話し合い、「育児は二人の責任だ」と夫も深く理解をし、ドヤ顔で育児を自慢することはなくなりました。
真のイクメンとは、目立たない細かな作業も当たり前に分担し、妻を労うことができる人なのだと、この一件で改めて実感いたしました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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