tend Editorial Team

2026.07.07(Tue)

「香典、包んでおいてね」義両親からかかってきた電話。だが、妻が感じていた違和感の正体とは

「香典、包んでおいてね」義両親からかかってきた電話。だが、妻が感じていた違和感の正体とは

家計簿に残る不自然な出費

月末に家計簿を見返していて、私はふと手を止めた。

「香典…また5千円」

ページをさかのぼると、同じ支出が半年で四度も並んでいた。合わせれば、決して小さな額ではない。

そのどれもが、私の知らない人へのものだった。夫の親戚に不幸があるたび、義実家から電話がかかってくる。

「香典、包んでおいてね」

義両親がまず立て替え、あとから夫が振り込む。結婚してから、それが当たり前になっていた。

けれど、私はその相手に一度も会ったことがない。名前すら、聞いた覚えがなかった。

それでも喪服に袖を通し、私はまた、見知らぬ誰かの弔いへ足を運ぶ。数字を眺めていると、そのくり返しが妙に重たく感じられた。

顔も知らない人への香典

「この人、どういう親戚なの?」

一度、夫にそう尋ねたことがある。夫も、はっきりとは答えられなかった。

「父さんの、いとこの……たぶん、そのあたりだと思う」

「そんなに遠い方にまで?」

私が聞き返すと、夫は気まずそうに口ごもった。答えを持っていないのは、夫も同じだったのだ。

顔も知らない。話したこともない。それでも、不幸があるたびに、うちの財布からお金が出ていく。

断りたくても、「親戚付き合いだから」と言われると、飲み込むしかなかった。

けれど家計簿の数字を前にして、私はもう黙っていられなくなった。

「ねえ、これ、いつまで続くの?」

夫は少し考えたあと、静かにうなずいた。

「……そうだな。一度、ちゃんと言おう」

私が告げた一言

次に義実家を訪ねた日。また香典の話が出たところで、私は思いきって口を開いた。

「面識ない親戚に香典は出しません」

義母の顔から、すっと表情が消えた。

「まあ…嫁の立場で、そんなことを」

「会ったことも、お話ししたこともない方です。うちの家計にも、限りがありますから」

震えそうになる声を、私はなんとか抑えた。隣で夫も、「俺も同じ気持ちだよ」と続けてくれた。

「まあ……今まで、黙って出してくれてたのに」

義母の声が、少しうわずった。反論の言葉を探すように口を動かしかけて、けれど、それきり黙り込んでしまう。

夫まで妻の側についたことで、もう引き下がるしかなかったようだ。

やがて義父が、ばつが悪そうに「……無理をさせていたな」と漏らした。二人がそろって目を伏せる番だった。

その日を境に、香典の催促はぴたりと止まった。

顔も知らない誰かのために、うつむいて財布を開く夜は、もう来ない。たった一言、線を引いただけで、こんなに気持ちが晴れるのかと驚いている。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.11(Sun)

「今日だけだから」と言い訳する隣人。うちの駐車場で勝手に水をくんでいた奥さんが、続けて口にした信じられない一言
tend Editorial Team

NEW 2026.10.11(Sun)

「順番なんか知るか、海の見える席にしろ」ホテルの朝食会場で怒鳴った男性。だが、結局中央の席を選んだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.10(Sat)

「私ならちょっと無理かも」私が出産した産院を口コミで否定するママ友。最後に本人が選んだ場所に唖然
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.09(Thu)

出戻りニートの叔母が両親の不仲を笑い話に!限界突破した私の強烈な一撃で迎えた末路
tend Editorial Team

2026.05.06(Wed)

「流石にやめなよ恥ずかしい」「マナー悪い人が増えた」とネットでは怒りの声。Mrs. GREEN APPLE、大阪スタジア...
tend Editorial Team

2025.12.19(Fri)

「鋭い意見だわ」「安っぽいという指摘は的確」と称賛の声。ナイツ塙が『THE W』の舞台演出に言及、『芸人が憧れる場所』と...
tend Editorial Team