「若いんだから、もっと詰めろよ」満員電車で責められ続けた僕。だが、隣の会社員が口を開いた瞬間
満員電車で、さらに一人が座ろうとしてきた
その頃の僕は、毎日ほぼ同じ時間の電車で帰っていました。
夕方の車内はいつも混んでいて、座れた日は鞄を膝に乗せ、なるべく場所を取らないようにしていました。
その日は座席の真ん中あたりに座っていました。右隣には書類の入った鞄を抱えた会社員の男性、左隣には参考書を開いた学生が座っています。
次の駅で、50代くらいの男性が混み合う車内へ乗ってきました。
そして僕たちの座席の前まで来ると、僕と学生の間に体を入れるように腰を下ろそうとしたのです。
僕も学生も反射的に体を寄せましたが、すでに3人が並んで座っていました。そこへさらに一人が入ると、肩が重なるほど窮屈でした。
すると男性が、僕のほうを見て言いました。
「若いんだから、もう少し詰めろよ」
「すみません…」
僕は鞄を胸に抱え、足をそろえてさらに体を縮めました。
それでも男性は納得していない様子で、少しするとまた、
「もっと詰められるだろ」
と言ってきます。
そのまま三駅ほど、男性は何度か同じようなことを口にしました。
向かい側にはつり革につかまった乗客が何人も立っていましたが、僕は気まずくて顔を上げられませんでした。
隣でずっと見ていた会社員の一言
三駅ほど過ぎたころ、右隣の会社員が膝の上の鞄を持ち直しました。
そして男性のほうを向き、落ち着いた声で言いました。
「最初からかなり詰めて座ってますよ」
男性が会社員を見ます。
会社員は続けました。
「ここ、もう3人座ってますから」
強い言い方ではありませんでした。ただ、ずっと隣に座って状況を見ていた人の言葉だったからか、男性は何も返しませんでした。
向かいに立っていた女性も、こちらを見て小さくうなずいていました。
次の駅で扉が開くと、男性は黙って立ち上がり、そのまま別の車両へ移っていきました。
「ありがとうございます」
僕が会社員に頭を下げると、男性は少し笑って、
「いや、ずっと見てましたから」
とだけ返してくれました。
すると向かいに立っていた女性も、つり革を握ったまま僕に声をかけました。
「ずっと言われてましたよね。大丈夫ですか?」
その言葉を聞いた瞬間、それまで張りつめていた気持ちが少しだけほどけました。
僕はもう一度頭を下げ、胸に抱えていた鞄を、ゆっくり膝の上へ戻しました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














