「何度も聞いてごめんなさい」明細の見方に戸惑う客。だが、電話を切る前にくれた一言に心温まった瞬間
何度説明しても、同じ場所で止まってしまう
コールセンターで、利用明細に関する問い合わせを担当していた頃のことです。
ある日、ご高齢の女性から電話が入りました。
「明細を見ているのですが、どこを確認すればいいのか分からなくて」
手元には明細書があるものの、利用日や金額が書かれている場所を見つけられないようでした。
私は普段と同じように、上から順番に項目を説明しました。しかし、途中まで進むと、女性は困った様子で言いました。
「ごめんなさい。今、どこを見ればいいのでしょうか」
もう一度説明しても、しばらくすると同じところで止まってしまいます。
私としては分かりやすく話しているつもりでしたが、言葉を重ねるほど、女性を混乱させているように感じました。
「何度も聞いてしまって、ごめんなさいね」
申し訳なさそうな声を聞き、私は説明の仕方を変えることにしました。
電話ではこちらから相手の手元が見えません。慣れている側の順番で話すのではなく、まず相手が今どこを見ているのかを確認する必要があると気づいたのです。
電話を切る前に聞こえた一言
「大丈夫ですよ。まず、紙の一番上に大きく書かれている日付を探してみてください」
私は話す速度を落とし、一つ伝えるたびに返事を待つようにしました。
「日付、ありました」
「ありがとうございます。その少し下に、利用した日と金額が並んでいませんか」
「ああ、これですね」
女性の声が、少し明るくなりました。
途中で分からなくなったときは、先へ進まず、確認できた場所まで戻りました。同じ内容でも言葉を変え、できるだけ短く伝えるようにしました。
時間はかかりましたが、女性は知りたかった利用内容を無事に確認できました。
「分かりました。これなら私にも見られます」
ほっとした声を聞き、私も安心しました。
電話を終えようとしたとき、女性が静かに言いました。
「何度も聞いたのに、嫌な声を出さずに話してくれてありがとう。安心しました」
私は「こちらこそ、最後まで確認してくださりありがとうございました」と答えました。
電話での案内では、正しい内容を伝えるだけでは十分ではありません。相手が今どこで困っているのかを確かめ、その人に合った速さや言葉で伝えることも大切です。
その言葉を聞いてから、私は以前よりも相手の返事を待ちながら説明するようになりました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














