tend Editorial Team

2026.10.01(Thu)

「連絡先、知ってるのに」休みの日に職場まで来た同期、笑顔なのになぜか消えなかった違和感

「連絡先、知ってるのに」休みの日に職場まで来た同期、笑顔なのになぜか消えなかった違和感

連絡先を交換したきりの同期

三十代のころ、私は派遣でシフト制の職場に勤めていました。

ほぼ同じ時期に入ったのは、私ともう1人の女性だけです。

研修は一緒に受けましたが、配属後は勤務する曜日が違い、昼休みも交代制。

同じ日に出勤していても、ほとんど顔を合わせないことがありました。

研修の帰りに連絡先を交換したものの、それきりです。

私から送ることもなければ、同期から連絡が来ることもありませんでした。

ある冬の平日、私は午後6時ちょうどに仕事を終えました。

上着を着てビルの入口を出たところで、突然名前を呼ばれます。

「あ、出てきた。お疲れさま」

振り向くと、入口の脇に同期が立っていました。

その日は休みのはずで、シフト表にも名前はありません。

「え、どうしたの?この辺に用事?」

私が聞くと、同期は首を横に振りました。

「ううん。シフト見たら、今日は6時までだなって思って」

「じゃあ…待ってたの?」

「うん。同期って私たちだけだし、ちょっと話せたらいいなと思って」

同期はいつものように笑っていました。

嫌なことを言われたわけでも、何かを頼まれたわけでもありません。

それでも私は、どう返したらいいのか少し迷ってしまいました。

悪いことではないのに、なぜか残った戸惑い

入口の前で少し話すと、同期は「じゃあ、また職場でね」と手を振り、駅のほうへ歩いていきました。

帰り道、私はスマートフォンの連絡先を開きました。

そこには、ずっと使っていなかった同期の名前があります。

「連絡先、知ってるのに。どうして何も言わずに待ってたんだろう」

事前にひと言連絡をくれれば、私も戸惑わずに済んだ気がします。

同期に悪気があったようには見えませんでしたが、休みの日にわざわざ来て、終業時間に合わせて待っていたことが、どうしても心に残りました。

翌日、休憩室で一緒になった先輩に、そのことを話してみました。

「休みの日に来たの?仲良くなりたかったのかもね」

「たぶん、そうなんだと思います」

そう答えながらも、自分の中の戸惑いは完全には消えませんでした。

その後、同期が入口で待っていたことはありません。連絡も来ず、困るようなことをされたわけでもありません。

ただ私は、それからしばらく、仕事が終わってもすぐには外へ出ず、ロッカーの前で少し時間を置くようになりました。

同期は今も、廊下で私を見つけると遠くから笑顔で手を振ってきます。

「お疲れさま。今日は遅番じゃないんだね」

「お疲れさま」

私も手を振り返します。

きっと、ただ仲良くなりたかっただけなのかもしれません。それでも夕方、ビルの入口を出るときには、今でもふと、あの日同期が立っていた場所へ目を向けてしまいます。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.05(Mon)

「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「昨日のは、なんていう曲?」隣のお風呂の歌声を気にしていた私。だが、ママ友の一言で固まった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「Mなら余裕だよ」とサイズ表を見なかった私。だが、届いたジャケットを長男が着て分かった勘違い
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.09.21(Sun)

音楽評論家・近田春夫、BABYMETAL論争に言及。湯川れい子の「水商売的」評価に同調→「ライブ見ないとわからん」とファ...
tend Editorial Team

2026.03.15(Sun)

山本太郎氏を巡る報道に波紋 スピード違反対応と秘書給与問題をめぐるれいわの説明に広がる議論
tend Editorial Team

2025.09.16(Tue)

発明した人、天才では…?扇風機をネコ化させるカバーが登場。扇風機がおしゃれなインテリアに早変わり!?
tend Editorial Team