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2026.10.01(Thu)

「そこまでして座り続けるの?」杖の女性を前にパソコンを閉じない乗客。だが、車内の空気を変えた男性の振る舞い

「そこまでして座り続けるの?」杖の女性を前にパソコンを閉じない乗客。だが、車内の空気を変えた男性の振る舞い

キーの音が響くドア横の優先席

四十代の私は、地方の電車で通勤しています。

本数は少ないものの、朝でも都心の電車ほど混みません。

その日も立っている人は多くありませんでしたが、ドアに近い座席は埋まっていて、少し離れたところに空席が残っている程度でした。

私は次の駅で降りるつもりだったので、ドアの脇に立っていました。

近くの優先席では、若い女性があぐらをかき、膝の上のノートパソコンを操作していました。

次の駅でドアが開くと、杖をついた年配の女性がゆっくり乗ってきました。

女性は近くの席を探すように車内を見回し、若い女性の前まで来ると、手すりにつかまりました。

私は少し迷ったあと、パソコンを操作している女性に声をかけました。

「あの、すみません。こちら優先席なんですけど、席をお願いできますか」

しかし返事はありません。聞こえなかったのかと思い、もう一度声をかけました。

「すみません。譲っていただけませんか」

それでも女性は画面を見たままでした。

何も言わずに立ち上がった男性

電車が動き出すと、杖をついた女性の体が小さく揺れました。私は思わず手を伸ばしかけます。

すると、ようやくパソコンの女性が口を開きました。

「すみません、今、仕事してるので…」

そう言って、また画面に目を戻しました。

(そこまでして座り続けるの?)

私が何と返そうか迷っていると、近くに座っていたスーツの男性が、鞄を持ってすっと立ち上がりました。

そして年配の女性に、自分が空けた席を手で示します。

「よかったら、こちらへどうぞ」

「あら…すみません。助かります」

年配の女性が腰を下ろすと、男性は私の隣に立ってつり革をつかみました。女性を責める言葉は、一言もありませんでした。

しばらくすると、それまで響いていたキーの音が止まりました。若い女性はパソコンを閉じ、あぐらを解いて、足を床に下ろしました。

そして次の駅に着くと、パソコンを抱えて立ち上がり、そのまま隣の車両へ移っていきました。

年配の女性は、私たちを見上げて笑いました。

「ありがとうね、お二人とも」

男性は少し照れたように笑います。

「いえ、僕も次で降りますから」

注意の言葉を重ねるよりも、黙って席を立った男性の行動のほうが、その場ではずっと伝わるものがあったように感じました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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